写真●マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長の加治佐俊一氏
写真●マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長の加治佐俊一氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「マイクロソフト日本法人が設立されてから25年の間に、当社には大きく3つの転換点があった。そして今は、4つ目の転換点にある」---。マイクロソフトは2011年1月17日、同社の研究開発事業に関する説明会を開催。同社 業務執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長の加治佐俊一氏(写真)が、今後注力したいテクノロジー領域について語った。

 加治佐氏はまず、同社の研究開発投資に言及。「当社には、グローバルで850人以上の研究者、3万2000人以上の開発者がおり、2009年7月~2010年6月期の研究開発投資額は90億ドル。この金額は、IBMの58億ドル、シスコシステムズの50億ドル、ソニーの48億円と比較すると分かるように、業界で秀でている」とアピールした。さらに、「この金額を2010年7月~2011年6月期には95億ドルに増やす」(加治佐氏)と語った。ちなみに、同社が“研究者”と呼ぶのは「製品化される可能性が5年後以降の技術を扱う人」のこと、“開発者”と呼ぶのは「3~5年の間に製品化される技術を扱う人」のことだという。「最新テクノロジーをいち早くソフトウエア製品に搭載するために、“開発”に多くの人的リソースを割り当てているのが当社の特徴だ」(加治佐氏)。

 加治佐氏は、「1986年にマイクロソフト日本法人が設立されてから25年の間に、当社には大きく3つの転換点があった」と考える。1つ目は、PCプラットフォームの統一だ。それまでは、PCメーカーごとにバラバラのハードウエアで各社のブランドによるOS製品を搭載していたが、共通プラットフォーム上で動作するWindows 3.1日本語版およびWindows NT 3.1日本語版をマイクロソフトから提供する形としたことで、パソコンのOSが統一された。同様に、2つ目の転換点は「製品設計をインターネットへ強力にシフトした」(加治佐氏)1995年、3つ目はセキュリティ性の高いコンピュータの実現を目指す「Trustworthy Computing」の取り組みがスタートした2002年とする。

 加治佐氏は、同社が今これら3つと並ぶ大きな転換点にあるという。「クラウドコンピューティングが実用段階に入り、近い将来、行政や教育、医療、農業など幅広い分野に普及していくことが予想される。当社は今後、Windows Azure、Office 365のようなクラウドサービスを提供するだけでなく、クラウドサービスを活用するための“NUI(ナチュラル・ユーザー・インタフェース)”の研究開発を加速していく」(加治佐氏)。

 NUIの例として、加治佐氏は2010年11月に発売したゲーム機「Xbox 360」向けのコントローラ「Kinect」を挙げた。Kinectでは、入力デバイスやタッチパネルを使わずに、空間を使ってコンピュータを操作する。加治佐氏は、このKinect技術をパソコン操作に応用する時期については未定とした。現在は、Kinectとネットワークを組み合わせて、Kinectユーザー同士がコミュニケーションする技術について開発を進めている段階だという。