米GoogleがWebブラウザー「Chrome」でビデオコーデック「H.264」をサポートしない方針を決定したことに対して大きな議論が起こっていることを受け、同社は米国時間2011年1月14日に公式ブログ上で詳細説明を公開した。その中で、サポート打ち切りがHTML5の<video>タグに関してのみであることを強調したほか、サポートしない主な理由としてH.264の使用にライセンス料を要することを挙げた。

 詳細説明によると、H.264に対応した「Flash」や「Silverlight」といったプラグインは今後もChromeでサポートする予定で、これらプラグインを通じたH.264ビデオの視聴は可能だとしている。

 しかし同社はH.264が現在広く使われている技術であることを認めながらも、ライセンス料が必要である点を指摘し、「ライセンス料は当社のような企業にとって打撃にはならないが、今後、優れた新興会社や新興市場の技術革新を圧迫することになる」と批判した。

 いまのところ、HTML5でどのビデオコーデックを基本的な標準として採用するか、関連各社で意見が一致していない。米Mozillaの「Firefox」とノルウェーOpera Softwareの「Opera」はGoogleが提唱する「WebM」、および「Ogg Theora」をサポートしているが、H.264は未対応だ。一方米Appleの「Safari」と米Microsoftの「IE9」はH.264をサポートしている。

 こうした状況から、すべてのパブリッシャーや開発者は複数の形式に対応しなければない状況であり、基本となるコーデックを決めることが重要だとGoogleは主張。基本コーデックの合意という目的に向けた行動として、「ライセンス料が必要なH.264はHTML5の基本コーデックとして合意されないことが明らかであるため、H.264をサポートしないことを決定した」という。また「当社は、Webの中核技術はオープンであるべきという信念を持っている」とも付け加えた。

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