写真●ビザ・ワールドワイド・ジャパン リスクマネージメント カントリーリスク ダイレクターの井原亮二氏
写真●ビザ・ワールドワイド・ジャパン リスクマネージメント カントリーリスク ダイレクターの井原亮二氏
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 ビザ・ワールドワイド・ジャパンは2011年1月12日、新たに国内導入したクレジットカード不正取引検知システム「Visaアドバンスド・オーソリゼーション(VAA)」に関する説明会を開催した。VAAは、米国では2005年から導入されているシステム。日本では2010年12月1日からイシュアー(クレジットカード発行会社)向けに有償で提供している。

 VAAは、Visaカードで取引を行う際に、その取引が不正である可能性を0~99までのリスクスコアにしてオーソリ(信用照会)電文に搭載し、イシュアーへ通知するシステム。同社がグローバルで運営する「VisaNet(Visaカードの入会や与信照会などのデータ処理業務を行うプラットフォーム)」を利用した取引に対して適用される。同社 リスクマネージメント カントリーリスク ダイレクターの井原亮二氏(写真)によると、国内のイシュアーが行っているVisaカードの海外取引は、すべてVisaNetを使っているという。

 リスクスコアは、不正取引が多発している地域や店舗など、Visaカードの全取引に対する分析結果を基に決定する。「不正取引のパターンは国ごとに異なるため、各国でリスクモデルを設定している」(井原氏)。さらにVAAでは、取引に使用されたカードが過去の情報流出事故に関係している場合、どの事故に関係したのか、どのような情報が流出したのかといった情報もリスクスコアと同時にイシュアーに提供する。

 井原氏は、「国内イシュアーの多くは自社で不正取引のモニタリングシステムを運用している。しかし、単独のイシュアーでは他社や海外での取引の情報収集に限界がある」と話す。イシュアーの自社モニタリングシステムは、不正検知に必要な情報が不足しているために、本来は正常取引であるものを不正と見なして、収益機会を損失しているケースが少なくないという。「VAAはVisaカードの全取引を分析しており圧倒的に情報量が多い。イシュアーは、VAAのリスクスコアをオーソリの参考情報に利用することで、不正取引を高精度で検知できるだけでなく、正常な取引の収益機会損失を大幅に減らすことができる」(井原氏)。