米Qualcommは現地時間2011年1月5日、無線および有線通信チップを手がける米Atheros Communicationsを買収することで両社が最終合意に達したと発表した。QualcommはAtherosのWi-Fi技術を獲得することによって、自社技術の強化を図るとともに、携帯電話以外の分野への事業拡大を目指す。

 合意条件の下、QualcommはAtherosの株式1株につき45ドルを現金で支払う。買収総額は31億ドルにのぼる見込み。両社の取締役会は既に買収案を承認しており、米国内外の当局とAtheros株主から承認を得た後、2011年前半に手続きを完了する予定。買収完了後、Atherosの社長兼最高経営責任者(CEO)であるCraig H. Barratt氏は、QualcommのNetworking & Connectivity事業担当プレジデントに就任する。

 Qualcommは2006年に無線LANチップの非公開企業を買収したほか、数年前からAtherosと提携してWi-Fiチップの開発に取り組んできた。Atherosを買収することで、Wi-Fi接続が標準となっているノートパソコンやタブレット端末といったモバイル市場における地位向上を狙う。両社が交渉中であると報じられた1月4日にAtherosの株価は19%上昇し、合意を発表した1月5日には1.2%高い44.53ドルを付けた(米Wall Street Journalの報道)。