AMDは2011年1月4日、新設計のCPUコアとDirectX 11対応のグラフィックス機能を1つのダイ(半導体本体)に統合した新型CPU、EシリーズとCシリーズを正式に発表した。低価格ノートPCやディスプレイ一体型PCに向けた製品で、同社はCPUに代わる言葉として「APU(Accelerated Processing Unit)」と呼んでいる。TDP(熱設計電力、実使用上の最大消費電力)が9W、18Wと低いのが特徴。PCメーカー各社から搭載製品が登場する見込みだ。
AMDが発表したのはこれまで「Zacate」(ザカテ)や「Ontario」(オンタリオ)の開発コード名で呼ばれていた製品。CPUコアは新設計の「Bobcat」(ボブキャット、開発コード名)で、PC向けのPhenomやAthlonの「K10アーキテクチャー」を簡素にしたような内部構造になっている。Zacate/Ontarioは、デュアルコアのBobcatと「ATI Radeon HD 5000」シリーズをベースにしたDirectX 11対応のグラフィックス機能やメモリーコントローラーなどを統合した製品だ。
Bobcatはコアごとに512KBの2次キャッシュを備える。64ビットモードや、仮想化支援機能の「AMD-V」に対応する。メモリーはシングルチャンネルのDDR3-800/1066(1.35V/1.5V)をサポートする。グラフィックス部分には、同社独自の動画支援機能「UVD3」も搭載している。デジタルディスプレイ出力は2系統で、一方はDisplayPort/HDMI/DVI/LVDSに対応。もう一方はDisplayPort/HDMI/DVIに対応する。HDMIのバージョンは1.3。アナログRGB出力も可能。製造はTSMCで、プロセスルールは40nmだ。
APUには、主流のノートPCやディスプレイ一体型PCなどに向けた性能の高い2モデルと、いわゆる「ネットブック」と呼ばれる低価格製品を想定した消費電力の低い2モデルがある。Zacateと呼ばれていたのはE-350とE-240。E-350はデュアルコアCPUで動作周波数は1.6GHz。E-240はシングルコア、1.5GHzだ。グラフィックス機能は「Radeon HD 6310」で動作周波数は500MHz。シェーダーは80個ある。TDPはいずれも18W。消費電力重視の製品は、デュアルコアで1GHzのC-50と、シングルコアで1.2GHzのC-30だ。グラフィックス機能として、280MHz動作、シェーダー80個の「Radeon HD 6250」を搭載している。パッケージは19mm角の413ピンBGAだ。
ナンバー | E-350 | E-240 | C-50 | C-30 |
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開発コード名 | Zacate | Zacate | Ontario | Ontario |
コア数 | 2 | 1 | 2 | 1 |
動作周波数 | 1.6GHz | 1.5GHz | 1GHz | 1.2GHz |
2次キャッシュ | 1MB | 512KB | 1MB | 512KB |
内蔵グラフィックス機能 | Radeon HD 6310 | Radeon HD 6310 | Radeon HD 6250 | Radeon HD 6250 |
内蔵グラフィックス動作周波数 | 500MHz | 500MHz | 280MHz | 280MHz |
シェーダー数 | 80 | 80 | 80 | 80 |
TDP | 18W | 18W | 9W | 9W |