写真 CPRAの椎名氏
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図 椎名氏が配布した資料
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 日本芸能実演家団体協議会や日本音楽著作権協会(JASRAC)などの著作権関連の87団体は12月24日に記者懇談会を開催した。今回の会合で実演家著作隣接権センター(CPRA)の運営委員である椎名和夫氏は、「あくまで私見」と前置きしたうえで、「私的録音補償金の議論から、私的録音・録画補償金制度の見直し問題全体を解決する糸口を見出せるのではないか」と述べた(写真)。

 私的録音・録画補償金制度については、文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」が2006年度から2008年度までの3カ年にわたり議論を行ったが、電子情報技術産業協会(JEITA)と権利者団体の意見が折り合わず、補償金制度の具体的な姿をとりまとめずに終了した。権利者や家電メーカー、消費者などの関係者による補償金制度の議論は、事実上止まっているのが現状である。

 椎名氏は、私的録音補償金に焦点を絞って議論を進めることが補償金問題全体の解決の糸口になる根拠として、録音については事実上コピーフリーになっており、メーカーや消費者団体の「コンテンツ保護技術があれば補償金が不要」という意見と矛盾しない点を挙げた。現在、音楽CDにはコピー制限がなくパソコンで事実上自由にコピーできる状態になっている。「音楽CDについてはメーカーや消費者の主張と照らし合わせても、補償の必要性が残る」「コピーフリーと補償金制度の並存を否定している関係者は誰一人いない」としたうえで、「官公庁が、ここのところから問題解決の糸口を見付けようと動いてくれないものか、と思っている」と述べた(図)。