iPhoneを製造・販売するアップルジャパンは、総務省の研究会から寄せられていたiPhoneのフィルタリングサービスについての質問状に対し、2010年12月21日に総務省に対して回答した。アップルジャパンの回答は、「企業秘密に関わるために、研究会を含む外部に対して公開しない。総務省のみに対外秘で回答書を提出した」というものだった。

 質問状を送付したこの研究会は利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会「青少年インターネットワーキンググループ(WG)」で、青少年が携帯電話の利用において被害に遭わないようなフィルタリングサービスのあり方を検討している。青少年への携帯電話のフィルタリング提供は「青少年インターネット環境整備法」で義務付けられているが、以前の会合でiPhoneは「携帯電話事業者から手順書が渡されて自分で設定するようになっており、提供義務を果たしていると言えるのか」という指摘が出ていた。それを受けてWGはアップルジャパンに対して、2010年12月14日に質問状を送付したという経緯がある。

 質問状の内容は、(1)日本におけるiPhoneの販売台数および青少年への販売台数、(2)青少年のiPhoneでのフィルタリングサービスの実装率、(3)フィルタリングサービスを実装せず、利用者に設定させている理由、(4)フィルタリングサービスの設定を店頭で行う場合の支障、(5)青少年保護に対する姿勢、に対する回答を求めたものだった。iPhoneでフィルタリングサービスを利用する場合は、利用者がiPhoneからクレジットカードを登録するなどしてAppStoreのアカウントを作成する。その後AppStoreからフィルタリング用アプリケーションをダウンロードして起動させ、フィルタリングの基準を選ぶという手順になっている。

 構成員から「フィルタリングサービスが契約時に提供されていない状況が続けば、アップルジャパンに対して行政指導もあり得るのか」という質問が事務局である総務省に対してあった。総務省は「WGとして質問状を送付した状況であり、すぐに行政指導する段階ではない」と回答した。