情報処理推進機構(IPA)は2010年12月20日、情報セキュリティに関する意識調査の結果を発表した。対象は15歳以上のインターネットユーザー。それによると、4割以上のユーザーが、PDF閲覧ソフト「Adobe Reader」をバージョンアップしていないという。
調査はWeb上で実施した。有効回答数は5019件。調査日は2010年10月25日から11月1日。一般ユーザーのセキュリティ対策状況などを把握し、IPAが発信する対策情報や啓発活動などに役立てることが目的。同様の調査はこれまでも実施している。
今回の調査では、Adobe Readerの更新状況を初めて聞いた。Adobe Readerの脆弱性を突く攻撃やウイルスが相次いでいるためだ。古いAdobe Readerをインストールしているパソコンでは、Webサイトにアクセスしただけで、ウイルスに感染する危険性がある。
その結果、「バージョンアップを実施している」と答えたのは55.6%(図1)。「バージョンアップを実施していないが、今後実施する意向がある」は11.1%、「バージョンアップを実施していないし、今後実施する意向もない」は33.2%(四捨五入しているため、総計が100%にならない)。つまり、4割以上のユーザーが、古いAdobe Readerを使い続けていると回答した。
その他の対策実施状況については、「セキュリティ対策ソフトを導入・活用している」と答えたユーザーは76.4%、「Windows Updateなどによるパッチの更新」が69.4%、「不審な電子メールの添付ファイルは開かない」が75.6%、などだった。
調査では、スマートフォンのセキュリティについても尋ねた。スマートフォンを利用していると答えたユーザーは9.3%。スマートフォン利用時の不安としては、54.5%が「紛失・盗難」を挙げた(図2)。次いで、「データの盗難・漏洩」が48.7%、「第三者による不正利用」が39.7%、「ウイルス感染」が39.5%(複数回答)。
スマートフォンに必要なセキュリティ対策としては、利用者の53.4%が「ウイルス対策」、43.6%が「データの暗号化」と答えた(図3。複数回答)。