フランスの競争当局は現地時間2010年12月14日、米Googleが検索広告市場において独占的地位にあり、競争法適用を検討する余地があるとの意見を明らかにした。2月に経済財務雇用省から要請を受け、Googleに対する調査を行っていた。

 当局は、Googleが検索広告市場で独占的立場にあることを認めながらも「非難に値するものではない」と判断。ただし、市場における支配力を乱用した行為については「制裁を受けることもあり得る」との見解を示した。

 当局はGoogleの制約的あるいは差別的慣行により、競合サービスが競争に参入しにくいこと、広告主やサイト運営者が交渉において弱い立場にあることなどを挙げた。さらに、広告主およびサイト運営者、パートナー、競合社などが不当な価格設定を押しつけられており、検索広告市場が陥っている困難な状況をいっそう悪化させていると指摘した。

 今回の当局による判断は、強制力のある裁定ではなく、あくまで助言的意見としている。しかし、「今回の分析は、Googleの行為が競争法の適用範囲になり得ることを示すものだ」と当局は述べている。

 米英メディアの報道(Wall Street JournalFinancial Timesなど)によると、Googleはフランス競争当局の判断を受け、コメントを発表。「広告主にはさまざまな選択肢がある。オンラインとオフラインのいずれでも(条件が合わなければ)広告媒体を切り替えることができる。これこそ競争的かつ動的な業界の印だ」と反論した。

 欧州ではGoogleに対する風当たりが強まっており、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は11月30日に、Googleを競争法違反の疑いで正式に調査することを発表している(関連記事:欧州委員会、競争法違反の疑いでGoogleの正式調査を開始)。

[発表資料へ]