文化庁メディア芸術祭実行委員会は2010年12月8日、第14回文化庁メディア芸術祭の受賞24作品などを発表した。文化庁メディア芸術祭とは、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門に分かれている応募型のコンテスト。14回目となる今年度は、49の国と地域から2645作品の応募があった。受賞作品と審査委員会推薦作品など171作品は、国立新美術館(東京都港区)と東京ミッドタウン(東京都港区)にて2011年2月2日から2月13日まで展示される。
今年度、アート部門で大賞に選ばれたのは、スイスの兄弟ユニットMichel DÉCOSTERD/André DÉCOSTERD(Cod.Act)の「Cycloïd-E」。水平方向に連結した5本の金属管にはスピーカーが備えられており、回転に応じて音の反響も変化する。予期せぬ動きと音響をもたらすダイナミックな作品となっている。優秀賞となった4作品のうち、「The EyeWriter」は最後まで大賞と競り合った作品。筋肉の委縮と筋力低下をもたらす神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患ったグラフィティライターが、眼球の動きで再び絵を描くまでのプロジェクトを追ったドキュメンタリー映像だ。
同じく優秀賞の「The Men In Grey」は、グレーのスーツに身を包んだ2人組の男性が登場する映像作品。スーツケース型の“装置”を持ち歩き、カフェでインターネットをしている人が見ている画面など、日常にあふれる情報を収集。ときには反対に、他人の通信に入り込み、勝手に画像を送りこむこともある。この作品を通して、通信の脆弱性などへの気付きを与えるという。また、優秀賞を受賞した田村友一郎の「NIGHT LESS」は、自分で画像を一切撮影することなく、Google ストリートビューの画像だけでロードムービーを完成させた。Google ストリートビューには夜撮影された画像がないことがタイトルの由来になっている。ほかに優秀賞が1作品、奨励賞が1作品ある。