図1 新たなコンテンツ配信とプラットフォームを検討
図1 新たなコンテンツ配信とプラットフォームを検討
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図2 サイマルラジオの画面メージ
図2 サイマルラジオの画面メージ
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図3 専門チャンネルの画面イメージ
図3 専門チャンネルの画面イメージ
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図4 チャンネルの選択画面
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図5 就任予定の理事、技術参与の顔ぶれ
図5 就任予定の理事、技術参与の顔ぶれ
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 金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所は2010年12月9日、ラジオ放送の難聴取問題の解決と、家庭用機器に向けた新しいコンテンツ配信のあり方を検討することを目的に「新メディア・プラットフォーム協議会」を立ち上げると発表した。協議会会長には、研究所 所長の北谷賢司氏が就任する。

 この協議会では、テレビに接続する専用端末を使って、難聴取地域においてはインターネットでラジオ放送の再送信をする実験を行うとともに、新たなコンテンツ配信についても検証する(図1)。協議会を、ラジオ放送局、コンテンツ配信事業者、端末製造事業者らと共に設立することを予定している。

 これまでは、任意の企業が20社集まって、基礎検討を実施してきたという。数十台という限られた数の端末を使った実験だったが、有用性や基礎的な課題が確認されて、解決策を提示されたことから、協議会を立ち上げることを決めたと説明する。

 協議会では今後、「多くの端末を使ったフィールドテストによる難聴取対策の効果」「ブロードバンドを利用し、画像や文字を付加した新たなコンテンツ配信の効果」「接続可能なサービス体系を論議し、低コストなコンテンツ配信の実現方法」など検討を進める。
 サイマルラジオは、無料で地域限定し配信する(図2)。サイマル音声+付加情報を想定する。テレビ画面の2/3を局エリアとして、静止画や動画を任意に表示できるようにする。番組情報は自動表示とする。残る1/3は情報エリアとして広告展開などを行えるようにする考えで、サービス運営体が独自にハンドリングすることを想定している。

 新たなコンテンツ配信として、専門チャンネルの配信を想定している(図3)。有料/無料のいずれも可能で、こちらは全国展開を想定する。

 12月9日に行われた発表会におけるデモでは、サイマルラジオとしては、エフエム東京と横浜エフエム放送、専門チャンネルとしてはJFCC(ファッションTV)、エス・エス・エム(OH!Mikey)、ビクターエンタテインメントが協力した(図4)。

 先行テストサービスの協力企業として、フェアーウェイ、プラネックスコミュニケーションズ、アイ・オー・データ機器、加賀電子、JVC・ケンウッド・ホールディングス(日本ビクター、ビクターエンタテインメント、ビクタークリエイティブメディア)の名前を挙げた。

 協議会として知的財産権の所有団体への対応については、「難聴取対策としてのエリア内限定再送信である」「営利を目的としない学術研究」であることから、既に主要な権利者団体などにも説明しており、特に問題はないという。

 今後の計画は、12月9日に協議会の会員募集を開始し、第1回参加締め切りを2011年1月14日に設定した。1月に協議会を設立するとともに先行テストサービスを開始する。2011年夏には検証結果をまとめ、2011年夏以降の運営会社による商用サービスを想定している。

 協議会の理事には、細田泰氏、阿南雅浩氏、千代勝美氏、加藤衛氏、技術参与に前田悟氏が就任予定である(図5)。

 なお、この配信サービスで利用する技術は、JVC・ケンウッド・ホールディングスが2009年9月に発表した「M-Linx」(関連記事)をベースに発展させたものである。