写真●IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの花岡秀樹氏
写真●IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの花岡秀樹氏
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 「クラウドコンピューティングにはセキュリティ面のリスクはある。しかしクラウドのメリットを考えると、セキュリティに不安を感じるという理由だけで導入をためらうのは合理的ではない」。IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの花岡秀樹氏(写真)は、2010年12月7日、都内で開かれたセキュリティソリューションセミナーの基調講演でこう切り出した。

 IDC Japanの調査によると、既にクラウドを導入した利用者のうちセキュリティに不満を持つのは10%にも満たず、プライベートクラウド、パブリッククラウドの差はほとんどないという。その一方で、クラウド導入によって最低でも10%以上のコストを削減できた利用者は半数を超えており、その満足度は高い。

 「現行の情報システムにも様々なセキュリティリスクがあり、ぞれぞれに適した対策を講じてきた。同じことはクラウドにも言え、製品やソリューションを使って様々なリスクを軽減できる」(花岡氏)。クラウドの効果には、コスト削減に限らず、システムの柔軟性による企業競争力の向上など計り知れないものがある。リスク管理を図ることでその効果を享受すべきだと花岡氏は言う。

 そのためには、クラウドのセキュリティリスクを特定し、管理して受容するという姿勢が大切になる。花岡氏は「そのリスクとコストを見極め、さらに現行システムのリスクと比較し、クラウド投資を進める必要がある」と提言し、その第一歩として、現行システムのセキュリティリスクの棚卸しをする必要性を説いた。

■変更履歴
講演内容により即したタイトルに変更しました。 [2010/12/09 17:30]