情報処理学会と日本数学会、日本化学会、日本化学会化学教育協議会、日本統計学会、日本動物学会、日本物理教育学会、日本地球惑星科学連合ら理数系の8学会は2010年12月7日、「デジタル教科書」推進に当たっての提案を文部科学省生涯学習政策局に提出したと発表した。提案は、理数系諸学会が「デジタル教科書」の活用に向けて活動する際に配慮すべき事項としてまとめた9項目(下記)からなる。チェックリストと位置付けており「デジタル教科書」の推進に当たり常にこの9項目を満たしていることを確認するよう求めている。

■「デジタル教科書」の活用に向けて活動する際に配慮すべき事項
事項1: 「デジタル教科書」の導入が、手を動かして実験や観察を行う時間の縮減につながらないこと。
事項2: 「デジタル教科書」において、虚構の映像を視聴させることのみで科学的事項の学習とすることがないこと。
事項3: 「デジタル教科書」の使用が、児童・生徒が紙と筆記用具を使って考えながら作図や計算を進める活動の縮減につながらないこと。
事項4: 「デジタル教科書」の使用が、児童・生徒が自らの手と頭を働かせて授業内容を記録し整理する活動の縮減につながらないこと。
事項5: 「デジタル教科書」の使用が、穴埋め形式や選択肢形式の問題による演習の比率増大につながらないこと。
事項6: 「デジタル教科書」の使用が、児童・生徒どうしが直接的に考えや意見を交換しながら進める学習活動の縮減につながらないこと。
事項7: 「デジタル教科書」の使用により、授業の「プレゼンテーション化」や、児童・生徒に対するプレゼンテーション偏重・文章力軽視意識の植え付けが起きないようにすること。
事項8: 「デジタル教科書」の導入に際して、教員の教科指導能力が軽視されることがないように、また教員の教材研究がより充実するように配慮すること。
事項9: 「デジタル教科書」の導入に際しては、少なくとも当面の間は、現行の紙の教科書を併用し、評価や採択においては紙の教科書を基準とすること。

 またこの9項目以外に、「健康上の問題点」と「児童・生徒のプライバシー」についても検討するよう要望している。

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