日本経団連、経済産業省、総務省などが設置する協議会「ジャパン・クラウド・コンソーシアム」が、ベンダー企業だけでなく、ユーザー企業やユーザー団体にも参加を呼びかけていく方針であることが分かった。ジャパン・クラウド・コンソーシアムは2010年12月22日に設立総会を開催。初年度は参加費を無料とし、ユーザー企業が参加しやすくする。

 ジャパン・クラウド・コンソーシアムは、日本におけるクラウドサービスの普及や発展を、産学官が連携して推進するための協議会である。クラウドサービスを利用するに当たっての課題を洗い出し、その解決策を提言することを活動内容とする。協議会の事務局を務める日本経団連産業技術本部の井上隆主幹は、「メーカーなどサプライサイドの視点に基づく提言だけでなく、ユーザーの意見も取り入れた提言を目指している」と説明する。

 協議会は、いくつかのワーキンググループ(WG)を作って、そこでの議論を元に、提言活動を行う。当初のWGはメーカーが提案したものが中心だが、将来的にはユーザーからの提案に基づくWGも作る。なお、現時点でメーカーが提案しているWGは、日立製作所の「クラウドマイグレーション検討WG」、インターネットイニシアティブ(IIJ)などの「業務連携クラウド検討WG」、NTTの「教育クラウドWG」、ASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(ASPIC)の「次世代クラウドサービス検討WG」、富士通の「農業クラウドWG」、KDDIの「健康・医療クラウドWG」である。

 これまで同種の活動は、総務省の「スマート・クラウド研究会」、経産省の「クラウド・コンピューティングと日本の競争力に関する研究会」、学識者やメーカーなどによる「グローバルクラウド基盤連携技術フォーラム」など、それぞれ独自に取り組んでいた。今回設立するジャパン・クラウド・コンソーシアムは、総務省、経産省の枠を超えた、より横断的な組織になるという。

 協議会への入会などは、ジャパン・クラウド・コンソーシアムのWebサイトで受付を開始している。