第1回の会合の様子。懇談会の構成員は15人
第1回の会合の様子。懇談会の構成員は15人
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 文部科学省は、電子書籍の普及に向けて法律面などの環境整備を進めるための懇談会「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」を設置し、2010年12月2日に第1回の会合を開催した。

 同懇談会は、2010年3~6月に開催された、経済産業省・総務省・文科省合同の「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」(3省懇談会)で今後の検討課題とされた内容のうち、文科省所管の項目について具体的に検討する。具体的には、(1)図書館における電子書籍の蓄積や貸し出しといった公共サービスのあり方、(2)権利の集中管理など、電子書籍の発行に必要な権利処理を円滑化するための仕組み、(3)電子書籍の発行にまつわる、出版社に対する著作隣接権などの権利付与の是非――などについて議論する。

 懇談会の構成員は15人で、文学・漫画・写真などの作家、図書館業界と出版業界の各関係者、法学者をはじめとする学識経験者などで構成される。同日の第1回会合において、早稲田大学法学部教授の渋谷達紀氏が座長に選出された。

 懇談会の期間については「すみやかに一定の取りまとめを行う予定」(懇談会の配布資料)とだけ記載されており、具体的には定められていない。これについては「当初は1年間とする予定であったが、より短期間での取りまとめを目指すことにした」(関係者)。12月だけで会合を3回開く予定としており、急ピッチで検討を進めていく。まずは12月中旬に予定している第2回会合以降、関係団体へのヒアリングを実施して3つの論点に関する意見を集約していく。