Yahoo! JAPANの検索サービス画面(記事執筆時点)。今後、Web検索結果の表示に必要な検索エンジンと検索連動型広告の表示に必要な配信システムを、米グーグルのシステムに切り替えることになる。なお、時期は未定としている
Yahoo! JAPANの検索サービス画面(記事執筆時点)。今後、Web検索結果の表示に必要な検索エンジンと検索連動型広告の表示に必要な配信システムを、米グーグルのシステムに切り替えることになる。なお、時期は未定としている
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 公正取引委員会は2010年12月2日、ヤフーがYahoo! JAPANの検索サービスにおいて米グーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムを採用する点について、独占禁止法上の問題はないという調査結果を発表した。

 ヤフーは2010年7月27日、Web、画像、動画、モバイルの4領域における検索エンジンと検索連動型広告配信システムについて、グーグルから提供を受ける契約をしたと発表。「グーグルは今日現在既に、確固たる日本語環境の検索エンジンと検索連動型広告配信システムを保有しており、かつ、その機能も現時点ではベストであるとの結論に至ったため、グーグルからの提供を受けることを決定した」としていた。

 これに対して、検索市場でグーグルとライバル関係にある米マイクロソフトは即日にコメントを発表。同社によれば、日本の検索広告市場でグーグルは51%、ヤフーは47%のシェアを持ち、合計で98%。通常の検索においても同様に高いシェアとなることから、「もしこの計画を進めることが許されれば、グーグルは日本における検索と検索広告のほぼ完全な支配を勝ち取ることになり、日本の消費者がWeb上で何を見つけ、何を見つけないかを、グーグルだけが決定することになる」と批判した。

 マイクロソフトは、公正取引委員会に対して懸念点を説明するなどして働きかけていたといい、楽天も2010年10月、「両社の提携は、グーグルによる情報独占につながり、検索のみならず、国内の多くのインターネット関連サービスの発展と成長を阻害する恐れがある」として、公正取引委員会に申告書を提出した。

 公正取引委員会では、ヤフーとグーグルから相談を受けたことに加え、多方面から意見、情報が寄せられたことを受け、本件に関する調査を実施。(1)ヤフーが自社にとって最適であると判断してグーグルから技術提供を受けることにしたと認められるか、(2)2社の間で、インターネット検索サービスおよび検索連動型広告に関する独自性が確保される手段が講じられているか、(3)2社の間で、検索連動型広告に関する情報分離が確保される手段が講じられているか――などを検討した結果、これらがいずれも認められ、そのほか独占禁止法上問題となる恐れがある行為が認められないことから、「現時点において独占禁止法上の措置を採るべく引き続き調査を行う必要はない」と判断した。

 この判断についてマイクロソフト日本法人は、現時点で具体的な対応策は決めていないとしながらも、「懸念すべき状況は変わっておらず、当社のスタンスは変わらない」(広報)としている。

 公正取引委員会は、引き続き本件について注視するとともに、「独占禁止法に違反する疑いのある具体的事実に接した場合は、必要な調査を行うなど、厳正に対処する」としている。また、本件に関する情報を専門に受け付けるメールアドレスを設け、今後とも積極的に情報収集を行うという。