写真●ユビキタスによるAndroid端末の高速起動デモの様子
写真●ユビキタスによるAndroid端末の高速起動デモの様子
[画像のクリックで拡大表示]

 2010年12月1日から3日までパシフィコ横浜で開催されている組み込み技術の総合展覧会「Embedded Technology 2010」(ET2010)。展示会場内にあるユビキタスのブースでは、Android端末を電源オフの状態からわずか数秒で高速起動するという同社が開発した新技術を披露している(写真)。

 ユビキタスが展示しているのは、同社が独自の高速起動技術「Ubiquitous QuickBoot」に新たに追加した起動モード「Androidモード」を使ったAndroid端末の高速起動のデモである。2010年11月30日に発表したばかりの新技術だ。

スナップショットを使わない方式で高速起動を実現

 QuickBootには従来、「スタティックモード」と「ダイナミックモード」という2つのモードが用意されていた。どちらのモードも、ある時点におけるOS(LinuxあるいはAndroid)の稼働状態(メモリー内容、CPUのレジスタ、周辺デバイスの状態など)をスナップショットとして丸ごと不揮発メモリーに退避しておき、ブート時にこれを工夫しながら迅速に戻すことで最短1秒台という高速起動を実現している。

 ただし、スタティックモードではスナップショットは固定されていて工場出荷時のイメージに戻すことしかできない。このためユーザーが自由に設定を変えたりローカルにデータを保存したりできるような一般向けのAndroid端末では使いにくい。

 一方、ダイナミックモードは任意のタイミングでスナップショットを更新できるため、上記のような一般ユーザー向けの使い方にも対応できる。しかし、こちらも例えば再起動のたびにスナップショットを更新すると、書き換え回数に制限のある不揮発メモリーを酷使することになり、また書き込みにも長い時間を要するという課題がある。

 こうした課題を解決するために、同社が第3のモードとして用意したのがAndroidモードである。Androidモードでは、全体のスナップショットをとる手法ではなく、Android OSの起動プロセスだけを同社の技術で高速化する手法をとっているという。このため、ユーザーが施した設定変更などをそのまま維持しつつ、起動時間だけを大幅に短縮できる。

 実際にデモを見たところ、だいたい1回深呼吸する程度の8秒ほどの時間でAndroid端末がコールドブート(電源オフの状態からの起動)していた。筆者が持っている最新のAndroid 2.2端末「GALAXY Tab」の場合、およそ25秒くらいかかるので、約1/3程度の時間でコールドブートできるわけだ。これはかなり速い。