写真1●Brocade VDX 6720-24
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写真2●Brocade VDX 6720-60
写真2●Brocade VDX 6720-60
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 ブロケード コミュニケーションズ システムズ(以下、ブロケード)は2010年11月26日、データセンターなど向けイーサネットスイッチの新製品「Brocade VDX 6720」シリーズを発表した。10ギガビットイーサネット(10GbE)対応ポートを標準で16ポート(最大24ポート)搭載する「Brocade VDX 6720-24」(写真1)と、同40ポート(最大60ポート)搭載する「Brocade VDX 6720-60」(写真2)の2機種を販売する。

 価格はオープン。同社では米国におけるBrocade VDX 6720-24の最小構成時の参考価格として、1万700ドル(1ドル83円換算の場合約89万円)という数字を挙げている。製品出荷については、すでに11月15日から出荷できる体制をとっており、購入の希望があれば代理店経由ですぐに出荷可能である。

 「Brocade VDX 6720」シリーズの大きな特徴といえるのが、同社が「Brocade Virtual Cluster Switching」(VCS)と呼ぶ経路構成技術に対応していることだ。

 データセンターでは、コアスイッチと多数あるエッジスイッチとの間に「アグリゲータ」などと呼ぶポートおよびトラフィックを集約する役割のスイッチを置き、冗長性の確保と併せてループを回避するSTP(Spanning Tree Protocol)を稼働させて経路を制御するという経路構成手法をとるのが一般的である。

 だが、STPは「ブロックポート」と呼ぶ未使用ポートをわざと定義することでループを防ぐ仕組みになっている。このため、かなりの帯域が実際には使われず無駄になる。VCSは、このSTPを置き換えるための技術である。

 VCSでは、IETFで標準化作業中の「TRILL」(TRansparent Interconnects of Lots of Links)と呼ぶイーサネットの冗長化および高速化のための技術を採用する。これにより、スイッチ同士を接続しているすべての経路を、STPのようにブロックせずに利用可能となる。

 ユーザーの作業は、個々のスイッチに重複しないようにID(VCS ID)を割り当ててつなぐだけ。すると、スイッチ同士が経路情報や設定情報を自動的に交換し、全体を複数のスイッチを束ねた仮想的な1台のスイッチとして扱えるように構成する。メッシュ型やリング型など、実際のスイッチ間の物理的な接続形態(トポロジ)はどのような形でも構わない。

 ブロケードはVCSのメリットの一つとして、「仮想マシン(VM)の移動に対するポート構成情報の自動追従」ということを掲げる。データセンター内(同一レイヤー2セグメント)のどこかで仮想マシンの移動が起こると、仮想マシンは移動先のスイッチポートで学習済みMACアドレスを更新するためのGARP(Gratuitous ARP)と呼ぶパケットを送出する。VCSでは全スイッチがARPの学習情報を共有しているため、GARPの受信をトリガーにポート構成情報を即座に対象スイッチに対して転送できる。