米消費者保護団体のCenter for Digital Democracy(CDD)とConsumer Watchdogを含む4団体は現地時間2010年11月23日、個人情報を不正に利用した医療・健康関連のデジタルマーケティングが実施されているとして、米連邦取引委員会(FTC)に調査するよう要請したことを明らかにした。製薬関連企業や医療関連製品のデジタルマーケティングを手がける会社、およびSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトを調べるよう申し立てている。

 FTCに提出された訴状によれば、問題のある情報サービスやサイトとしては、医師向け情報サイト「WebMD」や消費者向け情報サイト「Quality Health」のほか、米Google、米Yahoo!、米Microsoft、米AOLなどが名指しされている。

 4団体は、これらの医療情報サイトなどでは、消費者や患者が健康上の不安や関心事について述べた内容をデジタル形式で分類。それを追跡・分析することで、うつや、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、ぜんそくといった疾患別のマーケティングに利用していると指摘する。

 SNSサイトにおいては、サイトの利用者が仲間同士で製薬会社や治療などについてやり取りしている内容を監視している保健会社や製薬会社もあった。

 そのほか、消費者のインターネット活動をデータ収集して医療に関する心配事などを分析したり、オンラインのニューズレター配信や割引クーポンを配信することで個人情報を入手したりして、ターゲット型広告に使うデータを収集しているケースもある。

 デジタルマーケティングのターゲットは、消費者や患者だけでなく、医師や看護師など、医療関連の専門家も含まれているという。

 CDDおよびConsumer Watchdogと、米公益研究グループのU.S. PIRG、米プライバシー保護団体のWorld Privacy Forumは、こうしたデジタルマーケティングの慣習が消費者のプライバシーを脅かし、福祉保健をリスクにさらす可能性があると批判している。

[発表資料(CDDのプレスリリース)]
[発表資料(Consumer Watchdogのプレスリリース)]