写真1●ヒアリングで講演したNTT持ち株会社の鵜浦博夫副社長
写真1●ヒアリングで講演したNTT持ち株会社の鵜浦博夫副社長

 NTT持ち株会社の鵜浦博夫副社長は2010年11月24日、民主党の情報通信議員連盟総会のヒアリングに出席し、ブロードバンドの普及策について自社の考えを述べた(写真1)。

 鵜浦副社長は講演の冒頭で「ブロードバンド利用率100%を目指す『光の道』は、無線と固定、とりわけ無線が最後の決め手になる」と強調。光回線だけで利用率100%が可能とするソフトバンクの孫正義社長の「光アクセス会社設立案」をけん制した。

 続けて、「ユーザーはブロードバンドを自宅だけでなく外出時も利用したい。いつでも使えるように利便性を高めることが、ブロードバンド利用率を高める本筋の議論だ」とし、周波数の利用効率の向上とそれに伴う高速化によって、光の道の達成が可能になるとの考えを示した。

 固定回線市場の競争状況については、「NTTグループがすでに3兆円、電力系事業者も合計2兆1000億円を投資し、設備を持つ事業者同士の競争が有効に働いている。ユーザー数では富山県や三重県などCATVが光を上回る地域もある」と主張した。

写真2●NTT持ち株会社が示したソフトバンク案との比較資料
写真2●NTT持ち株会社が示したソフトバンク案との比較資料
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 さらに、ソフトバンクが掲出した新聞広告を意識した資料を提出(写真2)。「ユーザーに選択の余地を与えない光中心の普及策は、世界でも類のないガラパゴス提案だ。光、無線、CATVなど様々な事業者がサービスを磨き、ユーザーに選択の自由を提供するのがグローバルスタンダードである」とした。

 質疑応答では、民主党議員から2015年に光サービスはいくらになるのか、という質問が出た。これに対して鵜浦社長は、「回線設備のコスト削減を継続しており、ユーザーニーズの喚起と併せて料金の低廉化を果たしたい。競争相手のいる中で計画的に料金を決めることは難しいが、あえて目標を示すならば、できるだけ早く現在のADSLサービス並みの料金にしたい」と意気込みを示した。

 また、これを実現するためのNTTに対する規制が妨げになっていないか、という問いに対しては「NTT東西が持続的にサービスを維持するには、アクセス部分の収益だけではムリだ」と、現在、東西地域会社に課せられている事業領域の制限を見直して欲しいと訴えた。