ソフトバンクの孫正義代表取締役社長は2010年11月22日、総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」(ICTタスクフォース)「過去の競争政策のレビュー部会」「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」の合同会合を傍聴し、終了後に記者のぶら下がり取材に答えた(関連記事)。

 会合の印象について聞かれた孫社長は、「議論は単純に機能分離でいいというわけでなく、委員によって意見が分かれていると感じた。最終報告が単純に機能分離だけでよしとならないことを信じている。そもそも閣議で2015年頃に光の道を完成すると決めた目標に対して、何ら答えになっていない議論だった」と感想を述べた。

 今回示された骨子案で、これまでソフトバンクが主張していた提案が「不確実性が高い」と評価されたことについては、「実業を30年間やってきて、かつ上場会社の社長として責任を伴う立場の人間が、4兆円規模のリスクを取ってでも実現してみせますと言っているのに対して『実現性が乏しい』という感想で済ますのはいかがなものか。我々は机上で仕事をしているわけではない。当社案は(1)月額1400円で、(2)日本全国に、(3)2016年までに、(4)税負担無しで『光の道』を実現すると、具体的な目標を盛り込んでいる。こうした明確な目標を伴わずに機能分離だけであいまいに済まそうとする骨子案こそ、机上の空論で終わるのではないか」と反論した。

 今後の対応について孫社長は、国民にどういう選択肢があるのかを知らせるために全国紙と地方紙に意見広告を出し、国民を代表する国会議員が国家の最終意思決定機関である国会の場で最終決着するよう呼びかける方針である。「国民の皆さんに、実現可能な選択肢があるということを明確に示して、その選択肢が国会で議論もされないで葬り去られることが天下国家の正義に合うのか問うていきたい」とコメントした。