日本民間放送連盟会長の広瀬道貞氏(テレビ朝日顧問)は2010年11月19日に定例会見を開催し、中間決算を含む民放事業者の経営環境について、記者の質問に答えた。

<在京キー局営業利益は下げ止まりの傾向>
 民放事業者の2010年度中間決算について、在京キー局は出揃い、ローカル局は2割程度が出た状態だという。在京キー局5社の2010年度前期の売り上げは5457億円で、前年比同期比-0.9%だった。3年連続のマイナス成長となるが、減少幅が小さいことから「下げ止まったと見ている」と説明した。番組制作費を含む経費削減の効果で、在京キー局5社の営業利益は213億円だった。「リーマンショック前のレベルまで回復した」という。

 タイム広告は依然マイナスが続いているものの、スポット広告は大幅に伸びた。10月以降年末にかけて引き合いが増えており、申し込みのすべてを収容できないほどになっているという。「下半期について不安がないわけではないが、年間通して見れば、売上高はいいところまでいきそう」と説明した。

 ローカル局はまだ一部しか中間決算が出ていないが、概観としては「売り上げ、営業利益とも上向き基調」と述べた。

<NHKのネット事業強化については静観の姿勢>
 日本放送協会(NHK)が、インターネットを利用した放送番組の同時再送信に前向きな見解を示したことについては、そうしたサービスの必要性そのものに疑問を投げかけた。

 「民放事業者が過去に実施した実験でも明らかなように、同時再送信で集中的なアクセスに耐えられるようにするには配信サーバーなどに莫大な投資が必要となる。またネット配信に後ろ向きな出演者や作曲家を除外して番組を作ることになれば、質の低下が起きることも考えられる。放送法や民業圧迫が云々という以前に、こうした要素を考えると民放にはできないことだと思う。NHKに対する世間の見方を見ながら見守りたい」と述べた。

<レコーダーのCM飛ばしは「看過できない」>
 HDDレコーダーなどで録画番組のCMを飛ばして視聴する機能については「放送業界のビジネスモデルに影響する深刻な問題。看過するつもりはまったくなく、今後関係メーカーと厳しい折衝をする」とコメントした。