写真●米ブロードコム インフラストラクチャー&ネットワーキンググループのニコラス・イリアディス副社長兼CTO(最高技術責任者)
写真●米ブロードコム インフラストラクチャー&ネットワーキンググループのニコラス・イリアディス副社長兼CTO(最高技術責任者)
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 ネットワーク機器向けチップベンダー大手の米ブロードコムは2010年11月18日、記者向け説明会を開催し、同日発表した最新チップの概要やデータセンター市場における10Gビットイーサネット(10GbE)の現状などについて報告した。

 発表した新製品は、最大100Tビット/秒までのファブリック接続能力を備えたイーサネットスイッチングチップ「Broadcom BCM88600」シリーズと、デュアルポートの10GbEポートを備えた統合コントローラチップ「Broadcom BCM57712」の2つ。すでにサンプル出荷を開始しており、同製品を採用したルーターやスイッチ、サーバー向けLANアダプタなどのネットワーク機器が2011年半ばまでに登場する見込みだとしている。

 BCM88600は、データセンターのコアルーターや、複数のエッジスイッチを束ねるシャーシ型スイッチなどにおいて「心臓的役割」を果たすスイッチングチップ。多数のスイッチファブリック(バックプレーン)を同チップ経由で相互接続して束ねられる。具体的には、10GbEポート(40GbEおよび100GbEポートも収容可能)を1万個以上束ねることが可能で、合計で最大100Tビット/秒の交換容量を単一シャーシで実現できるとしている。

 BCM57712は、サーバー向けLANアダプタやストレージのネットワークインタフェースなどで利用する10GbEコントローラチップ。iSCSIおよびFCoE(Fibre Channel over Ethernet)、TCPの通信に対して、CPUではなくコントローラ側でチェックサム計算などの処理を肩代わりするオフロード機能を備える(同時実行が可能)。仮想マシンのI/Oパフォーマンスを高める「SR-IOV」(Single Root I/O Virtualization)や、2010年9月に標準化が完了したばかりのイーサネット向け省電力規格「IEEE 802.3az」などにも対応する。

イーサネット対応ストレージの増加が10GbE普及を後押し

 発表会では、ブロードコム インフラストラクチャー&ネットワーキンググループのニコラス・イリアディス副社長兼CTO(最高技術責任者)が10GbEイーサネット機器市場の現状と将来の展望について解説した(写真)。

 ニコラス氏はまず、データセンター市場における10GbE(ポート数)の普及曲線が2010年から急速に立ち上がり始めたことを紹介。「まさに壁が立ちはだかるように見えるほど飛躍的に成長している。2010年から2014年間まで、毎年倍々ペースで増えていく見込みだ」(ニコラス氏)という。

 10GbEが急速に普及を始めた理由の一つとして、ニコラス氏はイーサネットベースのネットワークストレージが急速に浸透し始めていることを挙げた。「出荷ポート数ベースで見ると、現在主流のDAS(Direct-Attached Storage)やFC(Fibre Channel)を使ったストレージは年々減ってきている。代わりにイーサネット、特に10GbEをインタフェースとして使うFCoEやiSCSI、NAS(Network-Attached Storage)がどんどん伸びている。FCからFCoEへ移行するユーザーも今後増えていくだろう」(ニコラス氏)。