写真1●ユビキタス・コミュニケーターとucode無線マーカー(花壇中央)
写真1●ユビキタス・コミュニケーターとucode無線マーカー(花壇中央)
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●実証実験で利用する技術について説明する坂村健・東京大学教授
写真2●実証実験で利用する技術について説明する坂村健・東京大学教授
[画像のクリックで拡大表示]

 東京都と国土交通省は2010年11月18日、「ユビキタスID」技術を利用して、目的地までの高精度なナビゲーションや観光案内などのサービスを提供する実証実験「東京ユビキタス計画・銀座」を銀座で始めることを発表した。

 実験期間は2010年11月19日から2011年3月31日まで。実験への参加料は無料。参加したい人は、東京ユビキタス計画のWebページ経由で事前に予約し、当日に東京メトロ銀座駅内などにある貸し出し場所で身分証明書を提示することで専用端末の貸し出しを受けられる。受付時間は午前11時から午後4時まで。貸し出し可能な台数は全部で25台となっている。

 実験では、銀座通りや晴海通りの道路や建物、地下通路約900カ所に、全世界で固有となる128ビットの識別番号「ucode」を割り当てたICタグや無線マーカー(電波式または赤外線式)を設置。それらucodeを専用の携帯情報端末「ユビキタス・コミュニケーター」(以下、UC)で読み取ることで、利用者の現在位置情報を取得する(写真1)。

 ucode自体は単純な「数値」であり、位置情報などは一切持たない。端末が取得したucodeを検索のキーとしてローカルのデータベースと照合したりクラウドに問い合わせたりすることで、位置情報やオススメ店舗などの付加情報を得る仕組みだ。

GPSやWi-Fiとはけた違いの精度を実現

 ユビキタスID技術の開発者で、今回の実証実験のけん引役である東京大学教授の坂村健氏(写真2)によれば、銀座のようにビルが乱立する街中では、GPSによる測位精度は50~80m程度、Wi-Fiでは10~30m程度であり、人間を目的地に誘導するにはかなり厳しい条件だという。

 一方、ucodeを使った電波マーカーは5~10m、路面タグでは30cmと一けた以上高い精度を実現できるとしている。ucodeは128ビットもの長さがあるため、例えば「今立っている足の位置」や「階段1段ごと」にucodeを割り当てても枯渇の心配が要らないほど無尽蔵に使える。つまり、今回は900カ所だが、もっと多くのucodeマーカーを設置すれば測位精度をいくらでも高められるわけだ。

 実験開始時点では専用端末のUCでのみサービスを利用できるが、坂村氏によれば、実験期間中にNFC(Near Field Communication:FeliCaなどが採用する短距離無線通信規格)対応の携帯電話からも、NFC対応の設置済みucodeタグ経由で観光ガイド情報などにアクセスできるアプリケーションを配布する予定だという。同様に、Android端末向けのUCソフトウエアも準備中としている。