NTT西日本の回線に接続してADSLなどのサービスを提供している接続事業者15社は2010年11月16日、総務省に「公正な競争環境の実現に向けた対応に関する要望書」を提出した。これは、NTT西日本が他事業者の利用者情報を不適切に使用したと2009年11月に発表した件に関連して、NTT西日本から明確な回答がない状況の解決を目的としたものである。

 要望書では主に、(1)「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の議論を通して、ボトルネック設備に起因する問題や総合的な市場支配力によるグループドミナンスの問題に対処するための実効的な政策を導入することと、(2)顧客情報の不正利用について客観的な検証ができるように、NTT西日本に対する追加的な行政指導を実施――の2点を求めている。

 問題に対処するための実効的な政策の内容については、今回の要望書には盛り込んでいない。この点について要望書提出後に会見を行った事業者側は「事業者ごとに求める内容が異なるため」(KDDI 渉外・マーケティング統括本部 渉外・広報本部 渉外部長の古賀靖広氏)と説明した。個々の事業者として求める政策について質問が及ぶと、「グループドミナンスの排除」(KDDI)、「禁止行為の拡大など、今できることを確実に実施」(イー・アクセス)、「(アクセス部門の)構造分離や資本分離まで踏み込んだ対策」(ソフトバンクグループ)、「NTT西日本本体ではなく、その子会社への規制によるドミナント規制」(ケイ・オプティコム)と答えた。

 接続事業者側の説明によると、今回の事案に関して2009年11月の発覚時点からNTT西日本に対して繰り返し説明を求めたものの、明確な回答をもらえていないという。その結果発覚から約1年が経過した現在でも、接続事業者側は不正利用が起きた背景や対策の運用状況などが分からないと主張した。

 今回要望書を提出したのは、イー・アクセス、関西ブロードバンド、ケイ・オプティコム、KDDI、彩ネット、ZIP Telecom、ジャパンケーブルネット、ジュピターテレコム、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB、長野県協同電算、新潟通信サービス、フュージョン・コミュニケーションズ、マイメディア、ミクスネットワークの15社である。

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