KDDI研究所は2010年11月16日、携帯電話機向けのビデオストリーミング中に、元の画質を保ったまま、見たい箇所を自由にズームして再生することが可能な技術を開発したと発表した。

 ハイビジョンの映像を、そのまま携帯電話向けに縮小して配信すると、映像全体が小さくなる。この映像の一部を携帯電話機上で画像処理して拡大表示することは技術的には可能だが、一般に元に比べて映像が粗くなってしまう。

 これに対して今回KDDI研究所は、事前にズームに適したフォーマットで映像の符号化処理を行い、携帯電話機から要求されたズーム率や、指定された位置に応じてオリジナルの大画面の映像の中から一部分を取り出して配信することで、拡大表示を可能とするストリーミング技術を開発したという。

 この技術は、映像の一部を取り出した上で、携帯電話でも復号可能な形となるように軽量な変換処理を行う点に特徴があると説明する、

 「3スクリーン」サービスの一つでもある携帯電話機向け配信においても、大画面映像コンテンツの魅力を損なわずに映像を視聴できるだけでなく、例えばある特定の選手の動きを追いかけながらスポーツ中継を視聴したり、旅行番組でより詳しく見たい場所や建物を拡大してその細部を見たりといった新たな映像視聴を実現する。

 今後は、この技術の性能や利便性などを評価すると共に、一般ユーザーを対象にしたトライアルの実施などを経て、FMBCサービスへの展開を検討していく予定。開発した技術は、2010年11月17日~19日に幕張メッセにて開催される国際放送機器展「InterBEE 2010」に出展する。

[発表資料へ]