写真●ハイソフトの孫振耀会長
写真●ハイソフトの孫振耀会長
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 「現在、中国市場でITアウトソーシングの需要が急激に伸びている。我々は日本や米国で得られた経験やノウハウを中国市場で展開する」。中国・大連に本社を置くITサービス企業、海輝軟件(国際)集団(ハイソフト)の孫振耀(スン・チェンヨウ)取締役会長兼執行役(写真)は2010年11月16日、東京都内で記者会見を開き、今後の事業戦略について説明した。

 ハイソフトは1996年11月に設立し、今年6月には米NASDAQへの上場を果たした。これまで日本を主要マーケットの一つと位置付け、大手企業向けにシステム開発や保守・運用サービスなどを提供。「顧客へのサービス提供を通じ、品質やセキュリティの重要性を学んだ」と孫会長は語る。サービス提供エリアを日本だけでなく、米国にも拡大した。NASDAQ上場を機に「グローバルなIT企業として、顧客にITアウトソーシングサービスを提供する」と、孫会長は意気込む。

 「低コストでかつ高品質であることが我々の強みだ」と、孫会長は強調する。中国でも、この強みを発揮したい考えだ。中国市場での事業強化を進めるための策を、孫会長は示す。一つは人材採用。中国で大学や専門学校を卒業した優秀な人材を採用するとともに、世界各地で採用活動を展開して需要の増加に対応させる考えだ。

 さらに、開発拠点の拡充を進める。中国では現在、9カ所の開発拠点を開設。このうち、江蘇省無錫市の開発拠点について触れ、「無錫の周辺には日本の企業が数多く進出しており、我々はこれらの企業に対して直接サポートできる」(孫会長)。

 ハイソフトの全世界の売り上げのうち、米国市場向けが60%、日本市場向けが30%で、中国市場向けはまだ10%に過ぎない。だが今後は中国市場向けを30~40%に引き上げる考え。「これから3年間で毎年40%の成長を狙う。その中でも中国市場向けの成長ペースが最も速いだろう」と、孫会長は説明した。