写真●Wi-Fiアライアンスでマーケティングディレクターを務めるケリー・デイヴィス・フェルナー氏
写真●Wi-Fiアライアンスでマーケティングディレクターを務めるケリー・デイヴィス・フェルナー氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Wi-Fiアライアンスは2010年11月16日、新たな認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi Direct」(以下、Wi-Fi Direct)の概要と、現在標準化が進んでいる次世代の高速規格への対応についての説明会を開催した。

 Wi-Fi Directは、無線LANのアクセスポイント(AP)を介さずに端末間を直接接続する製品向けの認定プログラムのこと。Wi-Fi Direct対応の端末は、「ソフトAP」と呼ばれるアクセスポイント機能を持つソフトウエアモジュールを搭載する。このため、カメラとプリンターを接続して写真を印刷する、携帯電話内の写真をテレビに転送して表示するなど、APがない場所でも端末間でコンテンツをやりとりできるようになる。通信する2台のうち、片方がWi-Fi Directに対応していればよい。

 認定テストは2010年10月下旬に開始した。韓国サムスン電子のスマートフォン「GALAXY S」など、既に認定を受けた製品もある。なお、Wi-Fi Directの場合、認定を受けたことを示すロゴは用意されていない。

 Wi-Fi Directに似た仕様は、米インテルや米ブロードコムなどいくつかのチップベンダーが開発している。この点については、「同じ時期に開発され仕様も似ているが、Wi-Fiのラボで試験をして認定されたものだけがWi-Fi Directと名乗れる」(マーケティングディレクターのケリー・デイヴィス・フェルナー氏、写真)。ケリー氏によると、チップベンダーはWi-Fi Directの最終仕様に合わせる方針だという。

 一方、高速規格については2種類の規格に対応する予定と説明した。(1)60GHz帯で5G~7Gビット/秒の無線通信を実現する規格、(2)5GHz帯で最大1Gビット/秒の無線通信を実現する規格---だ。

 (1)は現在、60GHz帯を使った無線通信技術の統一を図るために設立されたWireless Gigabit(WiGig)アライアンスと協力して認定プログラムの仕様を検討している。「WiGigの仕様はIEEEに提出され、802.11adのドラフトにも採用されている。IEEEが仕様を変更する可能性はあるが、この仕様に向けて業界全体が収束しているように感じている」(ケリー氏)。非常に高速だが通信距離が短いため、室内でテレビとメディアサーバーをつなぐといった「デジタルホーム」向けの規格である。

 (2)はIEEE802.11acとして規格を策定中だ。ケリー氏は「11acは11a/nの後継となる規格」と説明する。11a/nと同じ5GHz帯を利用するため、既存規格との相互接続性が見込まれている。カバレッジも同等という。

 認定テスト用の仕様は、(1)と(2)の両方とも2012年頃にリリースする予定だとした。