米IBMはイスラエルで現地時間2010年11月12日、クラウドコンピューティング環境を利用したデータ格納アーキテクチャの開発を目的としたコンソーシアム「Virtualized Storage Services for the Future Internet(VISION)Cloud」の立ち上げを発表した。欧州連合(EU)の援助を受け、欧州の企業や団体と協力し、国やベンダーの違いを超えて、リッチデータを保存および配信するサービスの向上と普及を目指す。

 VISION Cloudでは、コスト効率、プロバイダ間のデータ移動、セキュリティ保証、大規模な演算能力などの課題に取り組む。リッチなオブジェクト・データ・モデル、保存コンテンツ近辺の演算処理、コンテンツベースのアクセス制限、完全な相互操作性といった複数のコンセプトを統合する。

 同コンソーシアムは、イスラエルのハイファにあるIBMの研究部門が中心となって活動する。ドイツSAP、ドイツSiemensのCorporate Technology、オランダITRicity、スペインTelefonica Investigacion y Desarrollo、フランスFrance TelecomのOrange Labs、ノルウェーのTelenor、イタリアのRAI、ドイツのDeutsche Welle、ストレージ関連の業界団体Storage Networking Industry Association(SNIA)の欧州支部、ギリシャのアテネ国立工科大学、スウェーデンのウメオ大学、スウェーデンコンピュータ科学研究所、イタリアのメッシーナ大学など、15の企業や学術機関、標準化団体などが参加する。

 IBMが引用した調査結果によると、2005年に生成されたデータ量は150エクサバイト(1500億Gバイト)で、2010年のデータ量は1200エクサバイト(1兆2000億Gバイト)に拡大すると見られている。RAWデータは爆発的に増加し、データサービスへの依存度もいっそう増大する。IBMクラウドコンピューティング事業担当バイスプレジデントのKristof Kloeckner氏は「世界は保存可能な容量を上回る速さでデータを生成している。VISION Cloudは、よりフレキシブルで拡張性が高く、従量課金モデルで提供できる安全なクラウドストレージの新たな時代を先導する」と説明した。

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