「ストレージだけでなく、ルーターやスイッチといったコアネットワーク機器にも、Xeonプロセッサが使われ始めた。将来的にはデータセンター全体で、Xeonプロセッサを利用するようになる」--米インテルのデータセンター事業部 副社長 兼 マーケティング本部長のボイド・デイビス氏は2010年11月11日、東京都内で記者会見を行い、同社のデータセンター事業戦略をこのように説明した。

 インテルの戦略は、サーバーだけでなくストレージやルーター、スイッチといったデータセンターで利用されるあらゆるIT機器を、Xeonプロセッサベースにするというものだ。つまりこれらのハードウエアはすべて、パソコンベースの「インテルアーキテクチャー(IA)」になる。デイビス氏は、データセンターのあらゆる領域でハードウエア仕様が統一されることで、「オープンで互換性のある、マルチベンダー対応のデータセンターが実現するようになる」(デイビス氏)と主張する。

 デイビス氏によれば、ストレージに関しては既に、富士通、日立製作所、NEC、米EMCなどがXeonプロセッサを使用しており、出荷される製品の70%がXeonベースだという。さらに現在、ルーターやスイッチといったネットワーク機器に関しても、従来のASIC(特定用途IC)ではなく、Xeonプロセッサを使用するケースが増えている。ネットワーク機器にXeonプロセッサを使用しているメーカーとしてデイビス氏は、米シスコシステムズや中国ZTE(中興通訊)の名前を挙げた。デイビス氏はさらに「ムーアの法則に従い、Xeonプロセッサの性能が向上するにつれ、ネットワーク機器にXeonプロセッサを使用する事例は、今後さらに増えるだろう」と語る。

 インテルは、同社のデータセンター戦略を支援する団体として、2010年10月27日(米国時間)、「Open Data Center Alliance」を設立した。Open Data Center Allianceは、独BMWや米JPモルガン・チェースなどが参加するユーザー企業の団体で、オープンなデータセンターを実現するための要件を定義するという。インテルが直接、メーカーに対して仕様を提示するのではなく、ユーザー企業から要求を提示するという構図を作る。インテルは、Open Data Center Allianceの「技術顧問」という位置づけだ。Open Data Center Allianceはまず、2011年第1四半期に、「スケールアウト型ストレージ」や「統一化したネットワーク」、「ポリシーベースの電源管理」などに関する要件をとりまとめる予定だ。

 また、Xeonプロセッサベースのストレージやネットワーク機器を製造するメーカーを支援する取り組みである「Intel Cloud Builders」も、10月27日から開始した。現在のパソコンやPCサーバーの多くは、インテルが開発したリファレンス(参照)モデルをベースに開発されている。それと同じように、ストレージやネットワーク機器に関しても、インテルがリファレンスモデルをメーカーに提示する。Intel Cloud Buildersには、シスコやEMCのほか、米ヒューレット・パッカードや米デル、米IBMなどが参加している。