オープンソースのモバイルプラットフォーム「Symbian」の開発および普及推進を目的とした非営利団体Symbian Foundationはオランダで現地時間2010年11月8日、Symbianの開発プロジェクトを手放し、今後はライセンス業務のみを行うと発表した。これからSymbianの開発は、フィンランドNokiaが別の直接的かつオープンなモデルのもとで進めるという。

 Symbian Foundationは、Nokiaのほか、Sony Ericsson Mobile Communications、NTTドコモなどが中心となって設立した団体。2008年12月に英Symbianを買収したNokiaが「Symbian OS」を提供し、2009年に正式に活動を開始した(関連記事:NokiaがSymbian買収を完了、非営利団体Symbian Foundationを設立へ)。米AT&Tや韓国Samsung Electronicsなどもボードメンバーとして参加した。

 しかし最近ではSony EricssonとSamsungが次世代スマートフォンの開発に米Googleの「Android」を採用し、Symbian端末を開発しない方針を明らかにするなど、Symbian離れが目立っていた(英Financial Timesの報道)。

 Symbian Foundation執行ディレクターのTim Holbrow氏は「同団体の設立は、当時まったく正しい判断だった。しかし、モバイル市場は激変し、経済全体も大きく変化しているため、一部ボードメンバーは焦点の変更を図っている。その結果、Symbianに関する現在の運用体制は適切なものではなくなった」と説明している。Symbian Foundationは、業務とスタッフ数を縮小し、2011年4月にはSymbian商標などの知的資産とライセンス契約のみ手がけることになる。

 一方Nokiaは同日、Symbianへの取り組みを改めて強調し、引き続きSymbianの開発にリソースを注ぐとの声明を出した。「プラットフォームとしてのSymbianの将来は、Symbian Foundationの存在に左右されない。同団体の発表は、当社のSymbianデバイスのロードマップや投入計画になんら影響はない」としている。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]