写真1●LTE対応端末であるL-02C(右の赤と白の端末、韓国LG電子製)とF-06C(左、富士通製)<br>L-02Cは同社のデータ通信端末で初というカラーバリエーションを用意した。
写真1●LTE対応端末であるL-02C(右の赤と白の端末、韓国LG電子製)とF-06C(左、富士通製)<br>L-02Cは同社のデータ通信端末で初というカラーバリエーションを用意した。
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写真2●実効ピーク速度は63Mビット/秒とモバイルWiMAXやDC-HSDPAの理論値を超える速度を記録していた
写真2●実効ピーク速度は63Mビット/秒とモバイルWiMAXやDC-HSDPAの理論値を超える速度を記録していた
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 正式に発表され詳細が明らかになった日本初のLTE商用サービスであるNTTドコモの「Xi」(クロッシィ)。注目の料金プランは2段階定額で、月に5Gバイト超を超えるデータ量には追加の従量課金となる(関連記事)。この発表会場内では、LTE端末を使った実地デモを見ることができた。

 デモでは、今回発表された2つの端末、L-02CとF-06C(写真1)をノートパソコンに装着し、実際の基地局を利用して動画を閲覧する様子を披露した。動画のビットレートなどによって受信速度は前後したが、筆者が見ている中では、平均で40Mビット/秒前後、ピーク速度で63Mビット/秒を記録(写真2)。現行のモバイルWiMAXやDC-HSDPAの理論値を超える速度であり、LTEの実力の一端を見ることができた。Xiの理論上の最大速度は37.5Mビット/秒だが、一部の屋内エリアは10MHz幅を利用することで最大速度は75Mビット/秒になる。発表会場内は最大75Mビット/秒の環境だった。

 なお既報の通り、LTEサービスでも既存の定額データプランと同様の帯域制御を実施する。ただし定額データプランで実施している利用可能なアプリケーションや通信プロトコルの制限については当面実施しないという。そのためLTEではオンラインゲームやストリーミング動画の利用が可能になる。

 LTEサービスの国際ローミングについては、ローミング先がまだ限られることなどから当面対応しない。もっともL-02CとF06CのいずれもHSPAとGSM/GPRSの通信機能を搭載するため、国際ローミングはHSPAもしくはGSM/GPRS経由で利用できるという。

 NTTドコモの山田隆持社長は、LTEサービスの普及について「今年度は端末がデータ通信カードに限られているため数十万人程度だろう。2014年にはユーザー全体の4分の1に当たる1500万人くらいをLTEに移行させたい」と語った。

 この日、山田社長は「トラフィック増に対応するネットワークの増設は、既存のHSPAではなくLTEで対処したい」と何度も繰り返した。LTEでトラフィックを効率的に処理するためには端末の普及も必要になる。2011年早々にも出したいというモバイルルーターや、2011年度中に発売を予定する音声端末など、今後はドコモからLTE端末が続々登場するとみられる。