日本IBMは2010年11月2日、IaaS「IBM Computing on Demand」(IBM CoD)において、GPGPU(汎用グラフィックスプロセッサ)によるHPC(スーパーコンピュータ)環境の貸し出しサービスを開始した。最短1カ月間の利用が可能だ。GPGPUによるHPCを試用したい法人での利用や、HPC資産を持つ法人の繁忙期への対応といった需要を見込む。

 IBM CoDにおいては、国内ではインテル製プロセッサ搭載サーバーのリソース貸し出しサービスを提供済み。今回提供を開始したGPGPUによるHPCでは、既存サービスよりも低料金で高い処理能力を得られる。例えば4.12TFLOPS(1TFLOPSは1秒間に1兆回の浮動小数点数演算を実行)の処理能力を持つ構成では、新サービスの月額料金は160万円となる。従来サービスで同様の処理能力とした場合に比べて6割安い。

 今回のGPGPUによるHPC環境貸し出しサービスは、日本IBMが運用する国内のデータセンターで提供する。そのため、データを海外に出せない用途でも利用しやすい。IBMグループでは米ニューヨークのデータセンターにおいて、HPC「IBM Blue Gene」のリソース貸しを提供しているが、データセンターの所在地がネックとなるケースがあったという。

 最小構成はGPGPU2基からで「実効性能などの技術的な制約はあるが、サービスとしては無制限にノードを増やせる」(日本IBM広報)という。新サービスの基盤は、1ラックで理論性能44.2TFLOPSを達成できる高密度実装型ラックマウントサーバー「iDataPlex dx360 M3」である。