写真1●ブライトコーブのジェフ・ワトコット マーケティング担当シニアバイスプレジデント
写真1●ブライトコーブのジェフ・ワトコット マーケティング担当シニアバイスプレジデント
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 ブライトコーブは2010年11月2日、東京で記者向け発表会を開催し、SaaS型動画配信プラットフォームの新版「Brightcove 5」を同日付けでリリースしたことを明らかにした。

 小規模配信向けの「Brightcove Basic」と中大規模配信向けの「Brightcove Pro」の2つのエディションを用意する。価格は、同社が用意する配信用サーバーのトラフィック利用量などで変わるため個別に相談するとしているが、目安として小規模配信向けの「Brightcove Basic」エディションの最小構成の場合で、月額約5万円程度からとしている。既存のユーザーは無償でアップグレードできる。

 Brightcove 5は、2009年11月にリリースしたBrightcove 4の後継バージョン。新版ではYouTubeとの同期機能やiPhone/iPad向けに高画質な長尺動画をマルチビットレートで配信可能にする「Apple HTTPストリーミング」への対応、Webページにスクリプトコードを一つ埋め込むだけでFlashとHTML5両方での配信を可能にする「クロスプラットフォーム・スマートプレーヤ」、ライブ配信時にタイムシフト再生を可能にする「DVR」(digital video recorder)---などの新機能を搭載している。

 新機能のうち、視聴者の利便性を高めるという点で特に興味深いのがクロスプラットフォーム・スマートプレーヤとライブ配信時のDVR機能だ。クロスプラットフォーム・スマートプレーヤは、ユーザーがWebページにJavaScriptコードを一つ埋め込むだけで、視聴者の利用環境に合わせてFlashまたはHTML5での動画配信を自動的に切り替えられるようにする。これにより、配信側も視聴者も、利用端末がパソコンなのかAndroidやiPhoneなどのスマートフォンなのかといったことを気にする必要がなくなる。

 また、DVR機能は、家庭向けのハードディスクレコーダなどでおなじみの機能。ライブ配信時でも通常の動画プレーヤ画面と同様にシークバーを表示し、見落としたり繰り返し見たかったりするシーンをいつでもさかのぼって再生できるようにする。

「これからの動画配信は“ソーシャル対応”がカギになる」

 発表会では、同社のジェフ・ワトコット マーケティング担当シニアバイスプレジデント(写真1)が、最近の動画配信マーケットを取り巻く状況についても解説した。

 インターネットトラフィック全体に占める動画トラフィックの割合は年々増加しているが、同氏によれば米国では今年ついに51パーセントを超え、「すでにインターネットは動画のメディアと呼んでもよい状況になった」(ジェフ・ワトコット氏)という。最近の傾向として、単に動画トラフィックが増えているだけでなく、スマートフォンなどのモバイルデバイスでの再生が年率140パーセント以上ものハイペースで急増していることも挙げた。

 同氏はまた、Facebookなどソーシャルメディアにおける動画検索・再生への対応が今後、企業ユーザーが動画配信をする際のカギになると指摘した。「当社の調べでは、検索エンジン経由で見つけた動画よりも、ソーシャルメディア内で見つけた動画の方が視聴者に15パーセント以上長く視聴されていることが分かった。検索数自体も例えばFacebookの場合、毎月48パーセント増の勢いで増加している」(ジェフ氏)。