アイベックステクノロジーは2011年11月1日、遅延時間を抑えたH.264コーデック(データ圧縮・伸張装置)と、ケーブルテレビ向けに低ビットレートなデジタル圧縮を可能とするMPEG-2エンコーダ(データ圧縮装置)を開発したと発表した。

 遅延時間を抑えたH.264コーデック「HLD-3000」は、H.264のHDTV映像を10m秒で圧縮・伸張できる。2011年3月に発売を開始する予定である。

 設備のデジタル化に伴い映像信号の圧縮・伸張に数100m秒程度の遅延が発生すると、生中継時の撮影現場とスタジオ間における掛け合いのタイムラグの原因となる。そこでIBEXは2008年に超低遅延MPEG-2コーデック「HLD-2000」を投入していたが、課題となっていた低ビットレートでの画質向上を目指して、H.264版を開発した。

 運用例としてゴルフ中継を挙げる。一般に、HDTV映像をFPUなどで伝送するためには、映像を圧縮して伝送し再び伸長する。しかし、映像の圧縮・伸長に、現状では遅延時間が短い方式においても60m秒~120m秒 の遅延を余儀なくされているという。そのため、ゴルフ中継などで、ワイヤレスカメラと有線カメラをスイッチングした時にこの遅延が問題となり、ボールが逆戻りして見える問題が生じる。開発品では、H.264コーデック10m秒に、FPUによる変復調・伝送遅延などを加えても、20m秒以内に抑えることが可能している。このほか、送り返し用モニタなど、低遅延が生きる運用例を挙げる(参照ページ)。

 ケーブルテレビ向けに低ビットレートなデジタル圧縮を可能とするMPEG-2エンコーダ「MC-1000」は、狭帯域で自主放送チャンネルを複数確保するといった用途を目指す。現状の放送は一般にフレーム周波数が30fpsだが、自治体の地域情報や行政情報、防災情報などは静止画が多く、フレームレートを減らしても視聴者には違和感が生じない。そこで、フレームレートを抑えることにより低ビットレート化を実現した。SDTV放送では、 約500Kbps(2fps時)から、HDTV放送では約1.2Mbps(2fps時)からの運用が可能。音声は、モノラル/ステレオ/二カ国語に対応する。2011年4月の発売を予定する。

 両装置ともに、11月17~19日に幕張メッセで開催される「Inter BEE 2010」(2010年国際放送機器展)の同社ブースでデモを予定している。

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