ジュピターテレコム(J:COM)は2010年10月28日の2010年度第3四半期決算説明会で、KDDIとの業務提携についての協議機関である「アライアンス推進委員会」の中に「販売協力WG」を新設したと報告した。これまで「通信事業・商品提携WG」など合計四つのWGでアライアンスを推進しており、「特に通信事業・商品提携分野は各種施策を実施する段階となった」(代表取締役社長の森泉知行氏)という。そこで今回、各種施策を実施するWGを設置して、着実に成果を上げる体制にしたという。

 販売協力WGの下で、J:COMとKDDI両社の販売チャネルにおけるクロスセル(互いのサービスの販売)を本格展開する。さらに2011年4月開始予定の固定の新電話サービス「J:COM PHONEプラス」をエリア内のKDDIのユーザーに積極的に販売する。

 J:COMは今回の決算説明会で、地上デジタル放送とBSデジタル放送、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス、インターネットサービス、電話サービスをパッケージにした「J:COM TV My style」について述べた。

 森泉氏はJ:COM TV My styleについて、「多チャンネル放送事業者として、ベーシックチャンネルを売ってARPUを稼ぐというのは基本であり、変えたくない」としたうえで、「核家族化が進んでおり、ビッグベーシックは視聴したいジャンルが限られる単身世帯にとって重過ぎる。そういう層を狙って、一つのジャンルで勝負するというのが商品を投入した発想」と説明した。

 さらに、「2011年のデジタル化を控えて、大手通信事業者などとの間で顧客の囲い込み競争が起きている。特にNTT東西地域会社は多チャンネル放送をできないので、再送信サービスとインターネットを組み合わせた商品を売っている。景気の状況もあって、そちらに流れるところも増えている。それに対する手段としてこのサービスを提供している」と述べた。そのうえで「我々としては再送信サービスだけをテレビサービスにするのは、何が何でもやりたくない。そこで多チャンネル放送の要素を入れた。多チャンネル放送サービスにアップグレードしてもらうような商品にしたい」と述べた。なおJ:COM TV My styleユーザーのARPUは5000円程度である(すべてのユーザーの平均額は2010年9月末時点で7681円)。

 J:COMの2010年度第3四半期(2010年1~9月)の連結業績は営業収益が2677億5000万円(前年同期比8.9%増)、営業利益は491億7200万円(同9.3%増)、税金等控除前利益は467億4900万円(同11.9%増)、当社株主帰属四半期純利益は286億4200万円(同32.9%増)である。

[決算短信へ]