総務省は2010年10月28日、全国向け「携帯端末向けマルチメディア放送」の委託放送業務認定に向けて意見募集および参入希望調査を実施すると発表した。期間は、いすれも10月29日~11月22日である。これらの説明会を11月4日に開催する。

 「携帯端末向けマルチメディア放送」は、ハード・ソフトの事業者を分離するいわゆる「委託・受託放送」の制度を採用する。先日、マルチメディア放送(mmbi)が認定されたのは受託放送事業であり、送信設備などハード整備を担当する事業者である。これから、ソフト事業を展開する委託放送事業を決めるという段取りになっている。参入枠としては、13セグメントが2個と、1セグメントが7個分の周波数がある。ただしリアルタイム放送と蓄積型放送を組み合わせた始めての放送となるだけに、単純にそれぞれに事業者を割り振るという以外にも様々な考え方が成り立ちそうだ。

 意見募集の内容は、「携帯端末向けマルチメディア放送において実現するサービス」「委託して行わせる放送に係る周波数の割当て」「携帯端末向けマルチメディア放送と通信サービスとの関連性」「認定手続きの回数や方法」の大きく4項目からなる。各項目について、例えばどう考えられるのかを例示したうえで、関係者から意見を募集するというスタンスである。

 周波数割り当てについては、例えばの案として「13 セグメント領域・1 セグメント領域の計9の領域をそれぞれ1 単位として割り当てる(つまり9の認定枠を募集する)」「13セグメント領域については分割して複数の者に割り当てる」「それぞれの割当て単位ごとに、リアルタイム型放送のみ(又は優先)、蓄積型放送のみ(又は優先)、又は「リアルタイム型放送と蓄積型放送の組み合わせのみ(又は優先)の枠を設定する」「放送による表現の自由の享有の観点から、1 の事業者への周波数の割当ては、例えば全周波数帯域幅の1/3を超えないといった制限を設ける」などを示した。

 13セグメント領域について分割する場合にその方法として、「総務省が申請の枠(特定のセグメント分の周波数、例えば8セグメントと5セグメントなど)を決めた上で、申請を受け付ける」「 総務省が13セグメント領域を特定の数で均等に配分したもの(例えば3セグメント分)を1つの割当て単位(例えば3セグメント分を1放送番組とする)とすることを原則とし、その単位に従った申請を受け付ける。その際には、複数単位の申請を行うことを可とし、また割当て単位を超えた帯域を必要とする放送については例外として申請を可とすること」「割り当てる周波数を同程度にするなど均衡を図る」など例示した。

 通信サービスとの関連性については、例えばの論点として「放送番組の補完を行う通信サービス(携蓄積型放送番組の一部が欠落した場合に、通信回線を通じて当該欠落部分を補完的に取得できるようにするサービス)に係る提供形態や提供条件、設備などの提供に関すること」「放送番組の視聴及び契約手続きに必要となる受信設備の操作に係る設計や仕様の策定・画面上の情報の配置に関すること」「有料放送役務の提供に関する業務(例えば!)契約の締結の媒介、取次ぎまたは代理の業務、!)認証業務、!)視聴履歴の収集及び提供の業務、!)料金の請求または収納代行業務)に関すること」を挙げた。

 認定手続きの回数や方法については、「13セグメント領域について1回目の認定手続きを行った後、1回目で割当てとならなかった部分および1セグメント領域を合わせて2回目の認定手続きを行う」「放送番組表(EGP)や電子コンテンツ表(ECG)など、特別に確保することが必要と考えられる申請枠を設定し、他の部分とは期日を分けて認定手続きを行う」「すべての周波数帯域について、一括で認定手続きを行う」などを例示した。

 実現するサービスについても、多様な論点を求めている。「限定された特定の端末やソフトウェア・アプリケーションに向けた放送が行われる場合に、受信者が視聴・利用できる機会が十分に確保されるようにすること」「例えばリアルタイム型放送と蓄積型放送の組み合わせなどについて、放送形態に応じて認定に係る審査項目を違えるなどして、事業者の創意工夫と受信者の幅広いサービス利用のバランスを図るようにする」「蓄積型放送の視聴行動は、現在行われている一般的な放送とは大きく異なることが予想されるため、その利用方法に応じた審査項目を設ける」「CAS(Conditional Access Systems)やDRM(Digital Rights Management の略)に代表されるいわゆるプラットフォーム機能について、どのように形成され、提供されるかが、委託放送業務全体のみならず受信者の利益に直接・間接に関係し、重要であるので、その機能の提供(事業主体やその提供方法、方式の選択や統一化など)について委託放送事業者らが対応し、取り組む」などを挙げた。

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