写真1 HP Officejet Pro 8500A Plus
写真1 HP Officejet Pro 8500A Plus
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写真2 HP Officejet 7500A
写真2 HP Officejet 7500A
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写真3 HP Officejet 6500A Plus
写真3 HP Officejet 6500A Plus
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写真4 HP Officejet 6500A
写真4 HP Officejet 6500A
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 日本ヒューレット・パッカード(HP)は2010年11月1日,ビジネス向けのインクジェット複合機4機種を発売した。同社のビジネス向けインクジェット複合機として初めてA3用紙への印刷に対応する機種を投入したほか,同社が提供するクラウド・サービス経由での遠隔印刷を可能にする「メールdeプリント」(ePrint)機能,免許証やIDカードなどの表裏両面を1枚の用紙に簡単にコピーできる「IDコピー」機能などの新機能を搭載しているのが特徴だ。

 発売したのは,「HP Officejet Pro 8500A Plus」(写真1),「HP Officejet 7500A」(写真2),「HP Officejet 6500A Plus」(写真3),「HP Officejet 6500A」(写真4)の4機種。このうち、8500A Plus,同6500A Plus,同6500Aの3機種はA4用紙対応で,従来からある同等機種の後継機種となり、7500AがA3用紙対応の従来存在しなかったカテゴリの新機種となる。出荷は,8500A Plus、7500A,6500A Plusが11月中旬,6500Aが12月中旬を予定している。

スマートフォンからの印刷で威力を発揮

 新製品の目玉となるのはクラウド・サービス経由で遠隔印刷を実現する「メールdeプリント」(ePrint)機能である。今回の4機種すべてで対応する。  「メールdeプリント」機能では,同社がインターネット上に用意したクラウド「hp cloudpint server」を介してユーザーが電子メールでプリンタに印刷指示を送り,遠隔印刷を実現するというもの。同機能を使うように設定した場合,プリンタごとに固有のメール・アドレスが発行される。ユーザーがこのアドレスに対して印刷したい文書をメールの添付ファイルとして送信すると,受け取ったhp cloudpint serverが添付ファイルを解析し,ユーザーのプリンタに対してプリント・ジョブ・データを送る。

 プリンタ側からクラウドに対して外向きにセッションを張り,印刷指示を待ち受ける形になるため,ルーターやファイアウオールの設定変更など特別な設定は不要。基本的につなぐだけで利用できる。プロキシ・サーバー経由での接続にも対応している。印刷可能な文書ファイルの種類は,PDF,Word,Excel,PowerPoint,テキスト・ファイル,各種画像ファイル(JPEG/BMP/GIF/PNG)など。

 なお,セキュリティ対策として登録済みの送信元メール・アドレスからのみ印刷を受け付けるほか,万一漏れた場合のためにプリンタ側の固有メール・アドレスも変更可能になっている。日本HPによれば,クラウド側での迷惑メール対策も施しているという。

 メールdeプリント機能自体は,2010年7月に発表したコンシューマ向けプリンタ製品に搭載しているものと同じである。今回,ビジネス向けプリンタにも同機能を搭載した理由として,日本HPでは,企業におけるスマートフォンの利用拡大を挙げている。メールdeプリントを使えば,専用のプリンタ・ドライバを持たないスマートフォンでも簡単にオフィスのプリンタでの印刷が可能になる。こうしたニーズが今後ますます高まると判断して同機能を搭載したという。

全機種にタッチ・スクリーンとADFを搭載

 HP Officejet Pro 8500A Plusは,4.3インチ・カラー液晶のタッチ・スクリーンを備えたA4対応のハイエンド機種。4色すべて顔料系インクの大容量独立インク・カートリッジを採用し,6.6円/枚(A4カラー印刷時)と今回発表した4機種中最低のランニング・コストを実現している。両面対応の50枚オート・ドキュメント・フィーダ(ADF)および両面印刷機能を備える。印刷速度は,モノクロ印刷時で最高35ページ/分,カラー印刷時で最高34ページ/分(いずれもドラフト印刷品質)。

 そのほかの機能として,スキャンしたデータや受信したFAXを直接ネットワーク・フォルダに保存する機能や,スキャン原稿をパソコンなしで直接USBメモリー/メモリー・カードに保存する機能なども搭載している。パソコンとの接続は,有線/無線LANおよびUSB2.0に対応。価格はオープンだが,同社の直販サイト「HP Direct Plus」での参考価格は3万9900円となっている。

 HP Officejet 7500Aは,2.36インチのカラー液晶タッチ・スクリーンや35枚ADF,4色独立インク(黒は顔料系,カラーは染料系)などの特徴を備えたA3対応機。パソコンとの接続は有線/無線LANおよびUSB2.0に対応。印刷速度はモノクロ印刷時で最高33ページ/分,カラー印刷時で最高32ページ/分。ランニング・コストは7.6円/枚(A4カラー印刷時)となっている。HP Direct Plusでの参考価格は2万9820円。なお,本機種はA3用紙の等倍コピーが可能になっているが,本体ガラス面のサイズがA3サイズより小さいため,コピー時に手動で原稿をずらして2回スキャンする必要がある。

 HP Officejet 6500A Plusと同6500Aは,7500Aと同様に2.36インチのカラー液晶タッチ・スクリーンや35枚ADFなどを搭載し,4色独立インク方式を採用したA4対応の低価格機。6500A Plusと6500Aの違いは,無線LANおよび両面印刷機能の有無(6500A Plusのみ搭載)。印刷速度は,モノクロ印刷時で最高32ページ/分,カラー印刷時で最高31ページ/分。ランニング・コストは7.6円/枚(A4カラー印刷時)。HP Direct Plusでの参考価格は6500A Plusが1万9950円,6500Aが1万4910円となっている。