写真1●睦町クリニック 院長の朝比奈完氏
写真1●睦町クリニック 院長の朝比奈完氏
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写真2●グレイス 代表取締役社長の中村仁氏
写真2●グレイス 代表取締役社長の中村仁氏
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 サイボウズは2010年10月25日、無償のグループウエアサービス「サイボウズLive」の本格スタート(関連記事)に伴うイベント「Cybozulive Special Event 2010」を開催。サイボウズLiveのユーザー事例を紹介した。

 サイボウズLiveは、カレンダー、タスク管理、ファイル共有といったグループウエア機能をWeb上で無償提供するサービス。情報を共有する「グループ」を無制限に作成できるのが特徴だ。これまでに、4万1077人が同サービスを利用し、1万2191個のグループが作られたという。

訪問診療での情報共有に活用

 横浜市南区の睦町クリニックは、訪問診療の現場でサイボウズLiveを活用している。「訪問診療は、慢性疾患で在宅療養をしている患者を対象とした医療。疾病の治療だけでなく、患者が疾病と共存して生活するための支援も行う。そのため、医師、訪問看護スタッフ、ケアマネージャー、介護ヘルパー、訪問入浴スタッフなどが密に連携する必要がある」(同クリニック 院長の朝比奈完氏、写真1)。

 朝比奈院長は、クリニック、訪問看護ステーション、ケアマネージャーオフィス、訪問介護ステーション、訪問入浴ステーションなど、それぞれ別の場所にある事業所間で情報共有をするためのプラットフォームとして、サイボウズLiveを導入した。当初は事業所ごとに「グループ」を作っていたが、「このグループの作り方は失敗で、事業所を超えた情報共有が進まなかった」(朝比奈院長)という。失敗を踏まえて、今度は患者ごとに「グループ」を作成し、その患者に関わるメンバー全員を登録するようにした。患者ごとのグループ分けは成功し、事業所間の連絡、スタッフ同士の引き継ぎが円滑に行われるようになった。

 朝比奈院長は、サイボウズLiveの一番の利点について、「グループのメンバーが、ほかのどのグループに属するかが伏せられているため、患者のプライバシーが確保されること」を挙げた。また、「これまで情報共有には電話やFAX、Eメール、連絡ノートなどを使っていたが、電話やFAXは情報の整理に時間がかかる、Eメールやノートはセキュリティに問題があった。サイボウズLiveはこれらの課題を解決した」(朝比奈院長)と述べた。

 最後に朝比奈院長は、末期癌で他界したある患者のエピソードを紹介した。朝比奈院長がその患者を看取ったとき、患者の妻が、「私が医師やヘルパーに話したことを、ほかのスタッフの人が皆知っていた。多くの人に支えられていると感じた。夫を失ったことは悲しいが、前向きな気持ちになれた」と話したという。「サイボウズLiveによって、患者の家族を幸せにすることができた。多くの医療機関で、サイボウズLiveが導入されることを願う」(朝比奈院長)。

バーチャルオフィスとして利用

 Twitterマーケティングで有名な豚肉料理店「豚組」を経営するグレイス 代表取締役社長の中村仁氏(写真2)は今年9月、3人の発起人と共に新会社「Kizna」を設立した。現在、Kiznaの従業員は15人。豚組で培ったTwitterマーケティングのノウハウを活用して、様々なTwitterアプリケーションの開発を行っている。

 同社では、サイボウズLiveをオフィス代わりに活用している。「創業して間もない当社にはまだオフィスがなく、15人の従業員は東京、福岡、仙台に散らばっている」と中村氏は説明する。同社はサイボウズLive上に、開発チーム、営業チームなど5つの「グループ」を作成。「開発チームではファイル共有機能を使ってプログラムファイルや設計資料を共有、営業チームは会議の代わりに掲示板でディスカッションを行い、営業戦略を練っている」(中村氏)という。

 中村氏は、サイボウズLiveをオフィスとして活用することの最大のメリットは、「課題を発見できること」だと考える。「会議室に集まって、さあ課題を発見しようというのは無理なことだ。掲示板でのディスカッションの方が、課題を発見するという作業に適している」(中村氏)。