情報システム学会は2010年10月23日、トヨタ自動車が新型「プリウス」など4つの車種でリコール(回収・無償修理)に追い込まれた問題に対する提言「大規模システム化した自動車の安全性向上策~プリウス・ブレーキのリコール問題考察からの提言~」を公表した。リコールの原因を分析したうえで、自動車業界や所管官庁、学界などの関係者に向けて、自動車の安全性向上に関する具体策をまとめたことが特徴だ。

 提言は三つある。一つめは、ソフトに手を入れた場合に、手を入れた部分以外に予期しないバグを埋め込んでいないか確認する回帰テストをきちんと実施すべきというものだ。二つめは、自動車を「情報システム」ととらえたうえで、利用者の安全性や利便性をどう向上させるかを考えるべきというもの。三つめは、自動車システムの安全性に関する国際規格として策定が進む「ISO 26262」が発行になった場合に速やかにJIS規格にするなど、経済産業省は自動車の安全性にかかわる議論を牽引すべきというものだ。

 情報システム学会はトヨタリコール問題以外にも2006年12月に、みずほ証券と東京証券取引所の株誤発注事件についての提言をまとめている。