日本オラクルは2010年10月21日、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供しているCRM(顧客関係管理)サービス「Oracle CRM On Demand」の新版「R18」の提供を開始した。「セキュリティやサポートを拡充し、大規模導入がしやすい環境が整った」と日本オラクルCRM On Demand統括本部セールスコンサルティング&ビジネス推進部の山瀬浩明部長は説明する。

 セキュリティの強化としてR18からは、VPN(仮想私設網)を利用して通信できるようになったほか、データベースの暗号化が可能になった。オラクルはSaaSに加えて、オラクル内のデータセンターに特定の顧客企業向けのサーバーを設置する「バーチャル・プライベート・クラウド」と呼ぶ方法でもOracle CRM On Demandを提供している。山瀬部長は「バーチャル・プライベート・クラウドのニーズは高い。だがインターネットを介してデータをやり取することに懸念を示す事例もあった。VPNが利用可能になったことでネットワーク面でもセキュリティを保てる」と強調する。

 R18ではアプリケーションの機能強化も実施。売り上げの目標や販促費の予算計画から、部署ごとや個々の営業案件ごとの計画策定を支援する「ビジネスプラン」機能を新たに追加した。導入支援のためのテンプレートを拡充し、保険業界向けのテンプレートの提供を開始。保険業向けの「保険募集人管理」や「代理店キャンペーン」「代理店のビジネス計画」の3種類に加えて、保険代理店向けに顧客の誕生日や家族構成などを管理する「Producer Success Model」を用意した。

 価格は1ユーザー当たり月額8559円から。R18から、ユーザー数200人かつ契約期間36カ月以上の顧客向けに「Oracle CRM On Demand Services」と呼ぶサポートサービスの無償提供も始める。4カ月に1度、利用状況のコンサルティングを提供するほか、電話でのサポートを24時間365日受け付けるといったサービスを提供する。これまでOracle CRM On Demand Servicesは有償で提供していた。