写真1●アシスト のれん事業推進室 CMSナレッジセールス部 部長の橋本隆志氏
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写真2●サイトコア 上席執行役 マーケティング&テクノロジー担当の高沢冬樹氏
写真2●サイトコア 上席執行役 マーケティング&テクノロジー担当の高沢冬樹氏
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写真3●シックス・アパート 執行役員 Movable Type事業担当の金子順氏
写真3●シックス・アパート 執行役員 Movable Type事業担当の金子順氏
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 2010年10月20日、東京ビッグサイトで開催されたITpro EXPO 2010展示会のSales & Marketing Solutionフォーラムに、CMS(コンテンツ管理システム)ベンダーの3社が集結。どのようなCMSがネットマーケティングを成功に導くのか、パネル討論を行った。

 討論には、国内で約400社に導入実績のあるCMS「NOREN」を開発するアシストの橋本隆志氏(写真1)、CMSに分析機能やマーケティング自動化機能を統合した「Sitecore Online Marketing Suite」などの製品を持つサイトコアの高沢冬樹氏(写真2)、ブログ、CMS、コミュニティ、携帯対応と幅広いソリューションが特徴の「Movable Type」を提供するシックス・アパートの金子順氏(写真3)が参加した。モデレータは、日経ネットマーケティングの杉本昭彦副編集長が務めた。

CMS導入の目的を洗い出す

 企業がCMSに投資する目的は、Webサイトの改善によって、ネットマーケティングのコンバージョン率を最大化することにある。ECサイトであれば商品の売り上げを最大にすること、情報提供サイトやコミュニティサイトあれば会員登録数を最大化することがコンバージョンにあたる。

 「CMSは、どのようにコンバージョン率を最大化してきたか」との問いかけに対して、アシストの橋本氏は次のように回答した。アシストがCMS市場に参入した2002年当時、CMSの役割はWebサイトのデザインやテンプレートを統一することだった。「状態の悪い企業サイトが多く、ネットマーケティング効果を高めるというステップへ進む前に、まずはWebサイトの見栄え、操作性を改善する作業が必要だった」(橋本氏)。

 早期からアシストの「NOREN」を使い始めた企業に、神戸製鋼や三菱重工がある。「これらの企業が扱う商材は、Webサイトで販売するような類のものではないが、早い時期からWebサイト自体を改善したことで、結果的に、今ではWebサイト経由でのコンバージョンが増えた」(橋本氏)。

 シックス・アパートの金子氏は、「CMSの目的は、インターネットを通じて企業がターゲット顧客へアプローチすることだが、今は、企業サイトだけでなく、ブログやモバイルサイト、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など、様々なサイバー空間にアプローチしたい顧客が存在する」と説明する。「CMSを導入する前に、自分たちがどのような顧客にアプローチしたいのかを議論し、それを実現するためのメニューを備えたCMSを選ぶ必要がある」(金子氏)。

CMSでどこまで内製するかを線引きする

 CMSを導入したものの、思うようにコンバージョンが達成できないケースもある。そのような企業Webサイトにはどのような課題があるのか。

 高沢氏は、CMSを導入する前には、「CMSで自社サイトをどこまで内製するのかを定めるべき」と考える。コンテンツの作成や配置はCMSの基本機能を使って内製化できても、コンテンツの配置をデザインする作業などは社内にデザイナーがいないと難しい場合があるという。「Webサイト制作には、制作会社などの外部リソースを活用するという手段もある。CMSで内製する分野、外注する分野を規定して、その運用に応じたCMS製品を導入することが大事だ」(高沢氏)。

 また、金子氏は、一般ユーザーが実際に使いこなせるCMSの条件は「コンテンツ投稿画面と公開画面のイメージがマッチングしていること」と説明する。「Twitterやmixiのように、簡単に公開画面がイメージできるようでないと、結局、制作会社任せになってしまう。CMSのユーザーインタフェースには、作り込みが要求される」(金子氏)。

 金子氏の意見に対して橋本氏は、「CMSのインタフェースを過剰に作り込むと、新しいページを作るたびに新しいテンプレートを規定しなくてはいけなくなる」と発言。「操作性と設計の自由度のバランスを取ることが重要だ」と述べた。

■変更履歴
公開当初、第2段落で『Windowsのような操作感が特徴のCMS「Movable Type」』としていましたが、より適切な表現に変更しました。[2010/10/21 19:00]