写真●日経ニューメディアの松浦龍夫記者
写真●日経ニューメディアの松浦龍夫記者
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 「デジタルサイネージは費用対効果が重視される時代になる」---。2010年10月20日、東京ビッグサイトで開催中のITpro EXPO 2010展示会で、日経ニューメディアの松浦龍夫記者(写真)が登壇し、「導入がすすむデジタルサイネージ」と題して講演した。松浦記者は、2011年にかけて起こるデジタルサイネージの変化を予測した。

 講演ではまず、デジタルサイネージの最新事例を紹介。ローソンの店頭やJR品川駅、タクシー、首都圏の鉄道11社、小田急百貨店などでのサイネージを写真を使って説明した。その上で、広告を表示するよりも、商品やサービスを紹介する用途が増加していると傾向を分析する。特に顕著な例として、デパートのレストラン階や表参道ヒルズなど飲食店での導入が増えていると指摘した。

 その理由として、デジタルサイネージの認知度が拡大したことに加え、飲食物の映像をきれいに見せることで直接的な集客につながるということが要因になると松浦記者はいう。さらに最近は、デジタルサイネージもクラウド化が進み、やりたいことを伝えるだけで、開発だけでなくシステムそのものもアウトソーシングできる時代になったことが大きいとする。

 この傾向はさらに進んでおり、最近では「商品やサービス情報の紹介すらしないサイネージが登場している」という。店頭での商品ディスプレイの背景として動く映像を流したり、壁のポスター代わりに定期的に映像が変わるという用途で使われているという事例を紹介した。東京・銀座にあるヤマハの店舗のように、ビル全体がデジタルサイネージといえるような仕掛けも登場しているという。

 松浦記者は最後に、これまで取材してきた情報を元にデジタルサイネージの今後について「2011年にかけて、物珍しさから費用対効果が叫ばれる次代に変わるだろう」と予測。さらに、新たな普及場所として、自治体などによる「家庭内サイネージ」や「職場内サイネージ」、地元サークルやお祭りなど地域の情報を表示する「地域掲示板サイネージ」が考えられると語り、講演を締めくくった。