写真●NTTデータの山下徹社長
写真●NTTデータの山下徹社長
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 「PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)やIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)はコモディティ化が進み、価格を除きほとんど差はない。主戦場はSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)だ」---。「ITpro EXPO 2010(2010年10月18~20日に開催)」2日目の特別講演の壇上、NTTデータの山下徹社長はこう指摘した(写真)。

 山下社長はSaaSが主戦場としたうえで、地図情報や決済、認証機能を備えたアプリケーションの重要性が増しており、NTTデータとして注力していくと強調した。

 地図情報機能については、同社のSaaS「MaDoRE」に言及。「米グーグルの地図情報閲覧サービス『グーグルマップ』はプライベートで利用するには便利だ。ただ、ビジネスで使えるかというと、必ずしもそうではない。MaDoREは、標準的な地図上に公示地価や各世帯の平均年収など様々な属性情報を重ね合わせて表示する機能を標準で備えており、金融機関の不動産担保評価などに活用できる」(山下社長)。

 決済機能については、中国銀聯とともに進めるカード決済総合ネットワーク「CAFIS」を例に出した。山下社長は「決済システムを自前で構築するとなれば、多額の費用と時間がかかる。決済システムをSaaSとして提供できれば、ショッピングサイトへの出店を予定する企業などは、安価にすばやく決済システムを整備できる」とした。

 さらに認証機能について、山下社長はIC免許証を利用した本人確認サービス「BizPICO」を紹介。「BizPICOは、ネット環境に接続したパソコンにICカードリーダーを接続するだけで、本人確認サービスを利用できる」とし、「官公庁や金融機関などでの利用が今後増えるのは確実」と話した。

 講演の最後、山下社長はアプリケーションを高速に開発する“倍速開発”について、二つの取り組みを紹介し締めくくった。二つの取り組みとは、開発の自動化と24時間開発である。

 開発の自動化では、汎用的な自動化ではなく、業務に特化した自動化が有効と指摘した。NTTデータでは業務に特化した自動化により、設計書や業務ロジック、ソースコードの100%近い自動生成に成功しているとした。24時間開発については、ドイツのシステム開発会社との取り組みを紹介。日本とドイツの8時間の時差を活用して24時間開発を実現しており、最大で工期を55%短縮できたと語った。