図1●Adobe Acrobat X Pro(ベータ版)の画面。右端の「ツール」をクリックすると「ページ」「回転」などの機能が現れる
図1●Adobe Acrobat X Pro(ベータ版)の画面。右端の「ツール」をクリックすると「ページ」「回転」などの機能が現れる
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図2●Adobe Reader X(ベータ版)を起動したところ。Acrobat.comの機能を呼び出せる
図2●Adobe Reader X(ベータ版)を起動したところ。Acrobat.comの機能を呼び出せる
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 アドビ システムズは2010年10月18日、PDFファイル作成ソフトの新版である「Adobe Acrobat X(アドビ アクロバット テン)」、無償配布するPDF閲覧ソフトの新版「Adobe Reader X(アドビ リーダー テン)」を発表した。いずれも、11月15日に提供を開始する。

 Acrobat Xでは、ユーザーインタフェースを改善し、より簡単にPDFを活用できるようにした。図1のように、右側に「ツール」「注釈」「共有」という項目を目立つ大きさで設け、それをクリックすると下に「パネル ウィンドウ」が開くようにした。例えば「ツール」には「ページ」「コンテンツ」「フォーム」「アクションウィザード」「テキスト認識」といったパネルがあり、機能を効率よく呼び出せる。「アクションウィザード」も新機能で、頻繁に行う複数の作業を一括管理して効率を上げられる。複数のPDFファイルなどをまとめる「PDFポートフォリオ」の機能強化、Microsoft SharePointサーバーとの連携機能、Microsoft Office 2010とFirefoxへの対応、Wordファイルへの書き出し機能でレイアウト保持強化などの改善を施したこと、Excelファイルへの書き出し機能の追加、PDFの圧縮率を上げたこと、OCR(光学式文字読み取り)の認識率を上げたことなども今回の改良点だ。

 Acrobat 9には「Standard」「Pro」の2種類のパッケージがあったが、今回その上位製品である「Suite」を追加した(ProはWindows版とMac OS版があるが、他はWindows版のみ)。SuiteにはAcrobatのほか、画像処理ソフト「Photoshop CS5」、Microsoft PowerPointの機能を強化する「Presenter 7」、画面キャプチャーをする「Captivate 5」、入力フォームなどを作れる「LifeCycle Designer ES2」、動画エンコードができる「Media Encoder CS5」を含む。Acrobatユーザーに役立つ周辺ソフトを集めたものだ。

 無償配布される閲覧ソフトAdobe Reader X(図2)では、セキュリティサンドボックスによって不正な動作を抑止した。付せんのようにコメントを記入できる「ノート注釈ツール」、強調表示をさせる「ハイライトツール」を利用可能にした。Adobe Reader Xは、Android、Windows Phone 7、Blackberry Tablet OS向けにも提供される。

 Acrobat Xと連携するオンラインサービス「Acrobat.com」も強化する。大容量ファイルを他の人に送れる「SendNow」、PDFを作れる「Create PDF」、Web会議「ConnectNow」などのサービスがある。有償サービスの「Acrobat.com Premium」は、北米では既に開始していて月9ドルから。日本でも、2011年半ばくらいに開始予定である。

 製品の提供開始日は、Adobe Reader Xが11月15日(ダウンロード開始)。Acrobat X StandardとProは、ダウンロード版が11月15日、ライセンス版が11月16日、パッケージ版が12月1日。Suiteはダウンロード版とライセンス版が11月24日、パッケージ版が12月10日。価格は、Standardが3万6540円(アップグレード版が1万9110円)、Proが5万7540円(アップグレード版と特別提供版が2万5410円、学生・教職員個人版が1万9530円)。Suiteが15万1200円(特別提供版が11万145円)。

■変更履歴
第3パラグラフの冒頭で『Acrobat Xには「Standard」「Pro」の2種類のパッケージがあった』としていましたが,『Acrobat 9には「Standard」「Pro」の2種類のパッケージがあった』の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2010/11/02 14:20]