写真●Amazon Data Services Japanの玉川憲エバンジェリスト
写真●Amazon Data Services Japanの玉川憲エバンジェリスト
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 「プライベートクラウドでは、クラウドコンピューティングの本当の利点を享受できない」。東京ビッグサイトで2010年10月18~20日に開催中のITpro EXPO 2010において、Amazon Data Services Japanの玉川憲エバンジェリストが「Amazonクラウドという『黒船』の真実」と題した特別講演を行い、こう話した。

 玉川エバンジェリストは講演の中で、米アマゾン・ドットコムがクラウドビジネスを開始した理由、同社のクラウドサービスである「Amazon Web Services(AWS)」の概要、AWSにまつわる誤解、の3点について解説した。

 冒頭のコメントは「AWSのようなパブリッククラウドを使わなくても、自社で構築したプライベートクラウドで十分ではないか」という“誤解”を否定したもの。玉川エバンジェリストは「自社でデータセンター環境を整えるプライベートクラウドでは、初期の設備投資が必要になる。運用費は従量課金ではなく、瞬時にシステム資源を増強したり縮退させることができない。当社の定義ではこの状況をクラウドとは呼ばない。これらの課題を全てクリアできるパブリッククラウドこそ、本物のクラウドである」と続けた。

 このほか、「信頼性が低い」「セキュリティに問題がある」「商用ソフトをインストールできない」といった“誤解”を否定した。例えば、信頼性については「99.95%の稼働率を保証している。2009年の実績では、この基準値を下回ったことは1件もない」(玉川エバンジェリスト)と話した。セキュリティは「当社が最も重視している点で、第三者機関の認証を得ている」、商用ソフトについては「商用ソフトが仮想化ライセンスを提供していれば、稼働させることができる」と説明した。

 玉川エバンジェリストはAWSの国内外の事例も発表した。「米国の金融機関では、分析処理を実施する夜間だけ仮想サーバーを3000台分契約し、通常は300台の契約で済ませている企業もある。このように、本物のクラウドを使いこなしている企業とそうでない企業とでは、ビジネスの競争力に差が付き始めている」と締めくくった。