総務省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会 プロバイダ責任制限法検証WG」の第1回会合が、2010年10月18日に開催された。

 同WGは、2001年に制定されたプロバイダ責任制限法が間もなく10年目を迎えることと、知的財産戦略本部が2010年5月にまとめた「知的財産推進計画2010」で見直しについて盛り込まれたことを契機として、現在の運用状況を検証して制度改正の必要性について検討するもの。同日の会合で事務局が示した資料には、複数の課題が記載されている。具体的には、(1)同法の取り扱う範囲(2)同法の運用基準について具体的に定めた「プロバイダ責任制限法ガイドライン」の内容(3)第3条に定められた「権利侵害情報の削除」の内容(4)第4条に定められた「発信者情報の開示請求」の内容――について検討するとしている。

 同WGの主査は、東京大学大学院教授の長谷部恭男氏が務める。構成員は同氏を含め8人で、学識経験者を中心に選出されている。11月中旬~下旬に予定されている第2回会合以降、インターネット上のコンテンツサービス事業者やISP、権利者団体などからヒアリングして問題点を洗い出す予定。その後、2011年2月にかけて報告書案をとりまとめるとしている。

 同日の会合で事務局から示された「プロバイダ責任制限法の検証に関して考えられる個別の論点(案)」の概要は次の通り。

<1、同法の取り扱う範囲>
  • 他人の権利を侵害していないものの有害な情報の取り扱い
  • 他人の権利を侵害していないものの社会的法益を侵害する情報の取り扱い
  • 違法情報を削除しなかった/削除した場合のプロバイダーなどの刑事免責


<2、同法の運用基準について具体的に定めた「プロバイダ責任制限法ガイドライン」>
  • 送信防止措置によるプロバイダーなどの責任が制限される基準である「権利が不当に侵害されていると信じるに足る相当の理由」の運用の現状


<3、第3条に定められた「権利侵害情報の削除」>
  • 削除義務が生じる場合の明確化
  • 個別の情報流通を知らない場合の責任
  • 反復的な権利侵害行為への対策


<4、第4条に定められた「発信者情報の開示請求」>
  • 開示要件
  • 発信者情報開示請求権に関する仮処分のあり方
  • 「ノーティス&テイクダウン」制度
  • 開示する発信者情報の範囲
  • 発信者情報開示請求の主体