写真●日経コンピュータの星野友彦編集プロデューサー
写真●日経コンピュータの星野友彦編集プロデューサー
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図1●グーグル、セールスフォース・ドットコムのスコア内訳
図1●グーグル、セールスフォース・ドットコムのスコア内訳
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図2●サービス稼働率に関するベンダーからの回答(グラフ内の数値は回答数を示す)
図2●サービス稼働率に関するベンダーからの回答(グラフ内の数値は回答数を示す)
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 「猫も杓子もクラウド、クラウドと言っている時代だ。すぐ使えて、料金は使った分だけ、というクラウドの特徴を備えていない“なんちゃってクラウド”も横行している。そこでサービス選定の参考になるよう、実態を調査した」。2010年10月18日、東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2010」展示会で、日経コンピュータの星野友彦編集プロデューサーが「最強のクラウドはこれだ!~本邦初の大規模調査が明かす実像~」と題して講演した(写真)。

 講演では、日経コンピュータとITproが9月29日に発表した「第1回クラウドランキング」を基に、その詳細を解説した。クラウドランキングでは、クラウド関連企業としての認知度を1万2632人の回答者に問うた「ベストブランド」の調査と、ベンダーへの調査を基にクラウドらしい特徴を備えた「ベストサービス」を選定する調査を実施した。

 「ベストブランド」の調査では、グーグル、セールスフォース・ドットコムが総合スコアで1位、2位を占めた。その理由として星野氏は「認知度の高さはもちろん、グーグルなら技術力、セールスフォースなら実績が広く認知されている」と話す(図1)。半面、グーグルやセールスフォースでは「信頼性」のスコアが低かった。「信頼性の面では国内ITベンダー勢のスコアが高く、70くらいになっている」(同)。

 「ベストサービス」では、すぐに使えて料金は使った分だけという「クラウドらしさ」と、信頼性や可用性、ユーザーデータの保証といった「移行のしやすさ」を評価した。クラウドサービスの信頼性(サービス稼働率)についてベンダーからの回答を集計したところ、「IaaS/PaaSの半数で稼働率が非公開になっている」と星野氏は指摘する。「個別対応」も少なくない。サービス提供ベンダーには、明示してもらいたいところだ。

 クラウドサービスの利用申し込みから利用開始までの期間を調べた結果では、「同日内」というサービスは少なかった(有効回答54件のうちの8件)。星野氏は、「米国政府のIaaS調達基準では『サービスは、サービス提供者(ベンダー)による審査や許可がなくても、即時に利用できること』としている」と指摘した。

 星野氏は最後に、「クラウドサービス分野は動きが激しい。半年後の2011年3月には第2回クラウドランキングを公開する予定だ」と述べ、読者からの意見を取り込みながら継続的に調査する計画を明らかにした。