写真1●NTT代表取締役副社長の宇治則孝氏
写真1●NTT代表取締役副社長の宇治則孝氏
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 「クラウドビジネスは四つの領域ごとに主要5社が中心となって展開する。戦略の基本方針はオープン&コラボレーションだ」――。東京ビッグサイトで開催中のITpro EXPO 2010。初日の特別講演で壇上に立ったNTT代表取締役副社長の宇治則孝氏(写真)はこのように語り、NTTグループのクラウド戦略を披露した。

 講演のテーマは「動き出したNTT版クラウドの真価」。宇治氏はまず、国内におけるブロードバンド普及率の高さを挙げて「企業、個人を問わずクラウドを利用できる環境が整った。こうなれば、所有から利用へというパラダイムシフトは一気に進むはずだ」と、クラウドの利用拡大に自信を見せた。

 その一方で「安全や安心、信頼性といった面で、利用者らはまだまだクラウドに不安がある」と現状の課題を分析。「これを解決するのが我々NTTグループの使命である」と、クラウド市場への意気込みを示した。

 具体的な戦略について宇治氏は、クラウドの領域を大きく「アプリケーション/コンテンツ」「プラットフォーム/データセンター」「ネットワーク」「端末/デバイス」に分類。それぞれの領域に分けて、主要5社を中心に研究開発や市場開拓を進める方針を説明した。

 主要5社とは、NTT東西(NTT東日本・NTT西日本)、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、NTTドコモである。これに加えて、間もなくTOB(株式公開買い付け)によって買収が完了するというディメンジョンデータ社(南アフリカ)を加えた6社がクラウドビジネスの中核事業会社になるという。

 宇治氏はさらに、クラウドビジネスで大事なのは、オープン、セキュア、大規模、エコ、分散の五つのコンセプトだと明言。NTTグループではこれをベースにしながらも、「パートナー企業との緊密な協力関係を重視する。基本方針はオープン&コラボレーションだ」と、決して排他的でないクラウド戦略を語った。米Salesforce.comが間もなく日本国内に開設するデータセンターをNTTグループが手掛けるのもその好例だという。