写真●オンデマンド仮想システムサービスの管理画面
写真●オンデマンド仮想システムサービスの管理画面
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 富士通は2010年10月18日から20日まで開催している「ITpro EXPO 2010」で、同社が力を入れているクラウドサービスやクラウド関連技術を一挙に展示した。初日の10月18日には「オンデマンド仮想システムサービス」について来場者向けに講演。数カ月にわたって実施したトライアルサービスの反響をアピールした。2011年3月からは、シンガポールやオーストラリアを皮切りに海外展開も図る。

 初日である10月18日には、「オンデマンド仮想システムサービス」について来場者向けに講演した。オンデマンド仮想システムサービスは、仮想マシンやディスクをネットワーク経由で貸し出すサービスである。10月1日から商用サービスを開始している。ユーザーは仮想サーバーを1台当たり1時間25円で使用できる(関連記事)。

 強くアピールしたのは、2010年春から9月末にかけて提供したトライアルサービスの反響だ。トライアルサービスを利用したのは210社。富士通によれば、トライアルサービス開始の2カ月後にユーザーにアンケートを採ったところ、9割を超えるユーザーから「今後も継続利用したい」「検討したい」という回答を得た。

 富士通の説明員は「トライアルサービスの反響は当社の予想以上のものだった」と語る。特にユーザーから強い支持を受けたのは、仮想サーバーの性能。説明員は「ユーザーからは『(それほど性能が確保できないのではと予想していたが)期待通りの性能が出ている』との声を数多く頂いた」と語る。また、GUIを使った管理画面についても評価が高かったという(写真)。

 富士通のトライアルユーザーに対する調査によれば、トライアルユーザーの利用目的は「既存システム移行」が一番多く70%。2番目が「新規事業用のインフラ基盤」で15%だった。

 適用した業務エリアは、情報系(フロント業務)が56%、基幹系が24%、開発環境が16%だった。顧客管理サイトや問い合わせサイト、広告やキャンペーンサイトの基盤として利用するケースが多かったという。

 富士通によれば10月18日現在、トライアルユーザーを中心に数十社の申し込みがあるという。既に商用サービスの基盤として使うことを決定しているサービス事業者もある。トーテックアメニティは、ファイル転送サービス「easyFiLEX Cloud(イージーファイレックス クラウド)」を2010年内にも本格開始する予定だ。このサービスは、富士通のオンデマンド仮想システムサービス上に構築している。

 富士通はオンデマンド仮想システムサービスの提供エリアを海外にも広げる。まず2011年3月にはシンガポールやオーストラリアでの提供を開始。順次、英国、ドイツ、米国にも提供エリアを広げる計画だ。「海外に事業所のある日本企業に向けて、日本品質のオンデマンド型インフラサービスを提供する」(説明員)。